□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月31日発行 第376号 ■ =============================================================== 脱原発に舵を切った小沢と小泉の思う =============================================================== ドイツが脱原発に正式に踏み切った。それを報じるニュースのなか で見落とせない言葉がある。 脱原発を叫んでデモ行進するドイツ市民が口にしたのが「フクシマ を見よ」だった。 脱原発を宣言するメルケル首相が言った言葉が「起こりえないこと がフクシマで起きた」だった。 その福島原発は、菅首相がサミットで公約した言葉とは裏腹に収束 のメドは皆無だ。放射能汚染水が地下に垂れ流されつづけ、原発職員 の体内被曝も次々と明らかになりつつある。 福島事故の責任者であり、しかも福島事故を今なお制御できない菅 首相は、ウソやパフォーマンスを並べるより、サミットでドイツに 先駆けて明確に脱原発を宣言すべきであったのだ。 市民派菅首相の本心が不明な中で、皮肉にも原発推進政策をすすめ てきた自民党の主要政治家が脱原発を言い始めた。 週刊アエラ6月6日号に、小沢一郎が「脱原発宣言」をしたという 特集記事がある。彼は自らの考えを改め明確に脱原発に舵を切った。 アエラの記事が指摘するまでもなく小沢一郎は、菅首相がサミット で原発継続を認めたその時、米国紙ウォールストリート・ジャーナルの インタビューの中で明確に脱原発宣言をしている。 あのインタビューは米国メディアに対して小沢氏が菅首相を一日も 早く辞めろと宣戦布告したところにその衝撃度があるが、実はもっと 衝撃的な言葉があった。 福島原発事故で日本は住めなくなってしまうと言ったところだ。フク シマが小沢を変えたのだ。 そして同じ自民党のライバルである小泉元首相がやはり原発を唱え 出した。 因みに二人より格は落ちるがあの渡部恒三も脱原発宣言をしている。 原発政策という国策はおれが政治家になる前から決まっていた、それ を信じたおれが情けねえ、と言って(5月30日朝日 福島原発40 年(6)」。 私は5月29日のメルマガ第371号で、菅首相に小泉元首相のいい 加減さがあれば、サミットで主役になれたに違いない、と書いた。 確かに小泉元首相が脱原発を言い出すなどとはあまりにもいい加減 だ。しかしその変わり身はいい加減であっても、小泉元首相が脱原 を唱え始めたことはいい加減ではない。本物だ。 過去の立場がどうであれ正しい方向に変わることはいい。 5月30日の日経新聞に6月23日の小泉元首相が帝国ホテルで 「日本の歩むべき道」と題して講演するという広告が出ていた。 小泉元首相の講演は横須賀の地元だけにとどまらなかった。小泉 元首相は講演活動を再開したのだ。これからは至るところで脱原発を 訴え始めるということだ。勘の鋭い小泉元首相はフクシマ後の世界は 脱原発に動くと見たのだ。 福島原発事故処理は長引き、それととものフクシマは今後とも世界 の注目であり続ける。 それを見越してかつての自民党の宿敵二人が脱原発を訴える。こう なれば国民もまたそれになびく。 皮肉なことに市民派首相の菅直人が脱原発に踏み切れずパフォーマ ンスでごまかそうとしているうちに、保守の中から脱原発の流れが 出来て日本は脱原発に向かうことになるだろう。 それに気づいて菅首相もまた脱原発を言い出すであろうが後の祭り だ。左翼や菅首相がいくら脱原発を言い出しても国民は動かないが、 小泉や小沢が言い出せば世の中はそうなるのだ。 しかし、である。ここからがこのメルマガで言いたいことだ。 脱原発は脱日米同盟にまで行き着かなければならない。 いくら脱原発を唱えても、米国の核の傘を信じて日米同盟の深化を 世界の公共財だ、などと言っている者に、脱原発を言う資格はない。 小泉元首相は米国命の男だった。原発については世論に迎合して 脱原発に舵を切ったとしても、日米同盟はいまだ世論の大半が支持し ている。だから小泉元首相が日米同盟に舵を切ることは無い。 世論だけが頼りの対米従属者である菅首相はもちろん脱日米同盟は 言い出せない。 小沢一郎といえどもそこは不確かだ。 脱原発は脱日米同盟にまで行き着かなければ本物ではない。そのこと に国民が気づくまで、私は訴え続ける。 いずれ国民はその事に気づくことになるだろう。なぜならそれは絶対 に正しいことであるからだ。 了
新しいコメントを追加