□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月8日発行 第324号 ■ =============================================================== 善良な反原発主義者を欺く菅政権の罪 =============================================================== 私は昨日(5月7日)のメルマガ第322号で、浜岡原発停止を 要請した菅首相の緊急記者会見を額面通り歓迎してはいけない と書いた。 これに対して正反対の意見が読者から寄せられた。一つは浜岡 原発停止を訴えてきたと思われる読者からだ。それを素直に歓迎 すべきだ、と。 もう一つは、もはや菅首相には期待するほうが間違っている。 自らの原発政策を明らかにして国民の信を問え、などと甘い事を 言うのは止めて、即刻退陣を迫るしかないのだ、と。 どちらが正しいか。 緊急記者会見の報道から一日が過ぎて、あっさりと結論が出た。 今日(5月8日)の日経新聞は、浜岡原発の停止要請を受けた中部 電力が結論を持ち越した事について、菅首相官邸はこれを「想定の 範囲内」と冷静に受け止めていると書いていた。 それどころか、「長期的な電力見通しなどをパッケージで打ち出さ なければならないためだろう」などと、中部電力に同情的なのだ。 これを要するに、停止するかどうかはどうでもいいのだ。停止しろ と政治的リーダーシップを示すことに目的があったのだ。 そう思っていたら、5月8日の朝9時からはじまったNHKの日曜 討論で、仙谷副官房長官が出演して、浜岡原発は地震の危険性が高い ので停止するが、その他の原発は政府のエネルギー政策として堅持する、 と言ったのだ。 さすがの私もこれには腰を抜かした。あの緊急発言が、ここまでいい 加減なものだったのかとあきれ果てた。 ひょっとしてこれもまた菅首相と仙谷副官房長官の確執のなせる業か、 菅首相の足を引っ張るための仙谷氏の菅首相発言を貶める発言か、と 勘ぐってみたりした。 ところが記者会見を終えた菅首相はその後都内のホテルで仙谷官房副 長官と中華料理に舌鼓を打ったという記事を見つけた(5月7日産経 新聞)。 何のことはない。原発批判をそらすために、皆が危険だ、危険だと 反対する浜岡原発をスケープゴートにしたと言うわけだ。 二人の高笑いが聞こえてきそうだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)