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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

米国とイスラエルの関係を明かしたブッシュの「私の履歴書」(後)   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月26日発行 第298号 ■     ===============================================================   米国とイスラエルの関係を明かしたブッシュの「私の履歴書」(後)     ===============================================================  4月25日のブッシュ大統領の「私の履歴書」には米国とイスラエル の関係を示すもう一つの貴重な情報が隠されている。  それは、少なくとも中東情勢に関してはイスラエルの情報機関(モサ ド)のほうが米国の情報機関(CIA)よりもはるかに優れていると いうことだ。米国でさえも中東政策に関してはイスラエルの情報に影響 を受けざるを得ないということだ。 「私の履歴書」の冒頭は次のような文章で始まっている。  「2007年春、私の手元に一枚の画像情報が、とある同盟国の情報 機関から届いた。映っていたのは中東・シリアの東部にある・・・砂漠 地帯だ。そこに建設中の施設はどう見ても北朝鮮・寧辺にある核疑惑 関連施設にうり二つ・・・つまり、シリアが北朝鮮の援助の下、核兵器 開発に乗り出したのである・・・」  ブッシュ大統領は「とある同盟国の情報機関」と言う表現で巧みに ぼかしているが、これがイスラエルの情報機関であるモサドであること は明らかだ。  ブッシュ大統領は「私の履歴書」の中で、イスラエルのシリア攻撃の 要請を断った理由として次のように述べている。  つまり、主権国家を攻撃する事は、自らの情報機関(すなわちCIA) が集めた情報によって、彼らが攻撃すべきだと「立ち上がった」時でなけ れば、つまりモサドの情報だけでは、攻撃出来ない、と書いている。  しかしこれは嘘だ。シリアへの攻撃をためらったのは、イラク攻撃の 失敗に懲りてこれ、以上戦火を拡げる余裕がなかったからだ。  ブッシュ大統領は「私の履歴書」の中で、シリアが北朝鮮の支援で核 施設を建設しようとしていた事をつかんだモサド情報を驚愕を持って認め ている。  その一方で、ブッシュ大統領はCIAの間違った情報でイラク攻撃を したことを悔やんでいる。  ここからがこのメルマガの本題である。  もしあの時イスラエルがブッシュ大統領にイラクには大量破壊兵器が なかったという事実をブッシュ大統領に伝えていたらどうだったか。 ブッシュ大統領はイラク攻撃を出来なかったし、しなかったであろう。  私は確信している。イスラエルはブッシュに対してイラクに大量破壊 兵器がなかったことを知っていながらそれを伝えずにブッシュを語誘導 してイラク攻撃をさせたに違いない、と。  自らの安全保障に決定的重要性を持つイラクの核兵器保有について、 モサドがその情報をつかんでいなかったとは考えられない。   なぜイスラエルは米国に本当の事を伝えなかったのか。それは自ら の安全保障のためにサダムのイラクを排除したかったからだ。その汚れ 役をブッシュの米国にやらせたかったからだ。  イスラエルの情報機関は常に米国の中東政策を揺さぶっている。  そのことは、いま米国のリビア、シリアに対する迷走からもうかがえ る。これについては機会をあらためて書きたい。                              了

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