□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月14日発行 第267号 ■ =============================================================== メア前日本部長の釈明を掲載した読売新聞のセンスを疑う =============================================================== どうでもいいような記事だが、実は重要な記事であるから、 一言書きとどめておきたい。 4月14日の読売新聞がメア前米国務省日本部長の釈明を 掲載していた。 あの発言は歪曲されて伝えられた、報道は事実ではない、 と主張したという。 ワシントンで読売新聞との記者会見で答えたという。 いわく、「学生達は反基地団体の関係するツアーで沖縄を 訪れた。発言録は2ヶ月半後に出席者の記憶をもとにつくら れた。歪曲されている」 いわく、「(ゆすり発言は)かつて日本で慣例となっていた 大規模小売店の出店の事例にたとえたものだ」 いわく、「(ゴーヤ怠慢発言は)沖縄の人々は補助金がもら えるから、もらえないゴーやよりもサトウキビを圧倒的につく っているという指摘だった」 このような釈明にもならない発言を信じる日本国民がいる だろうか。 実は私は、さる4月10日、都内で伊波洋一前宜野湾市長の 講演を聴きに出かけ、その後の懇親会で伊波氏から最近の沖縄情勢 について聞く機会があった。 大震災ですっかり忘れ去られているが、沖縄県民の普天間基地 辺野古移転に反対する気持ちは今でも揺るぎないという。 その際伊波氏は語っていた。メア前部長とは長い付き合いだが、 あの発言は確信犯だ。米国の苛立ちを反映した言葉だ、と。 伊波氏とメア部長のどちらを信じるべきか。答えは言うまでも ないだろう。 実際のところ、メア発言は、沖縄県民はもとより、日本国民に 大きな反感を抱かせた暴言だった。 日米同盟深化をもくろむ日米両政府にとっては深刻な不用意発言 だった。 だからこそ米政府はすばやくメア部長を更迭したのだ。 失言で更迭された日本担当の米国高官を私は知らない。 日本部長を更迭された彼の去就を私は注目していたが、4月6日付 で国務省を依願退職したという。 そのメア部長の釈明は、もはや日米両国政府さえも歓迎しないだろう。 せっかく大震災でウヤムヤに終わろうとしていたメア発言騒動を 蒸し返すことになりかねないからだ。 それにしても、と思う。 そんなメア部長にわざわざインタビューし、しかもその見え透いた嘘 をスクープよろしく掲載する。 そんな読売新聞の良識を私は疑う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)