□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年4月8日発行 第247号 ■ =============================================================== クリントン国務長官の訪日の意味するもの =============================================================== 今日(4月8日)の各紙がいっせいに報じている。クリントン米国務 長官が4月中旬にも急遽日本を訪問することが明らかになった、と。 何の目的で訪問するか。 それはもちろん私にもわからない。 しかしわからないのは私だけではない。これを報じる各紙もその 目的を特定できていない。 各紙が共通に書いていることは「東日本大震災の支援で日米の更なる 強化を図るための訪日」という曖昧なものだ。 しかし日本の閣僚が外遊するのと違って、米国の閣僚が海外訪問する 時は明確な目的がある。 単なる菅首相表敬や被災地入りして被災民や米軍激励をする(朝日) ためだけの訪問をするような無駄なことはしない。米国民や米議会が それを許さない。 4月末からの大型連休に予定されていた日米安保閣僚協議(2プラス2) が困難になり、菅総理の訪米も延期せざるを得ない(日経、東京)情勢 にある。 これは菅首相には大きなマイナスであり、それゆえに何とか日本側は それを進めようとしているに違いない。 しかしもはや米国は安保協議を急がない。当分は普天間基地を現状 通り使用することでなんの支障もない。急ぐな、と引導を私に来るの ではないか。 あるいは、危機的状況が一向におさまらない原発事故を見かねて、 「事故への対応」(読売)に注文をつけに来るのかもしれない。 クリントン長官はリビア情勢を協議するためベルリンで4月14- 15日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)の外相会議に出席し、 その終了直後に日本を訪問する(東京)ので、行き詰まったリビア情勢 に欧米があらたな手を打つことに対する理解と協力を日本に求めてくる のかも知れない。 それらすべてを連呼して足早に去っていくのかもしれない。 いずれにしても大震災によって日米関係は大きな変化を見せつつある ことだけは確かだ。 日本国民向けに新日米同盟宣言を行い、日米同盟の深化を謳いあげる というパフォーマンス外交がもはや通じなくなった事だけは確かである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)