□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月18日発行 第187号 ■ ================================================================== 外国人の国外退去を隠そうとした日本政府 ================================================================== いまでこそ各国政府が日本からの国外退去を命じていることが 大手新聞各紙で報じられるようになった。18日の各紙が様々な 形でそれを報じている。 その中で私は18日の朝日新聞の記事に注目した。その記事は要旨 こう報じている。 17日までに大使館の一時閉鎖を正式に通報してきた国は外務省 によると、イラク、バーレーン、アンゴラ、パナマ、クロアチア、 コソボ、リベリア、レソトの8カ国である。しかし正式な通報はない ものの事実上大使館を閉鎖している国は相当数あるという。 この奇妙な記事が意味する事を私が解説して見せよう。 影響力のない小国がいくら撤退したところで影響力はない。だから 外務省は発表する。 しかし、米、英、仏といった主要国が大使館を閉鎖したらその政治的 ダメージはどうか。 菅民主党政権はついに国際社会から見限られたということになる。 だから政府・外務省はたとえそのような動きがあっても、それを正式に 認めたくないのだ。おそらくかなりの数の大使館が通報なく避難をはじめ ているに違いない。 主要国が正式に撤退を通報してこない裏に何があるのか。 それを推測させてくれるに十分な情報を私は偶然にも個人的つながり で入手した。 日本政府が口止めしていたのだ。 日本の原発事故について海外ではどう見ているのか。その事について 私の知人の何人かからメールで情報が寄せられてくる。 国内の報道との格差には驚くばかりだ。 放射能汚染に対する危機意識がまるで違う。 日本政府の対応に対する不信は驚くばかりだ。 そんなメールの中で、日本に進出しているドイツ外資会社の幹部の 奥さんから次のようなエピソードを聞いたと教えてくれるメールが、某国 在住の友人の一人から寄せられた。 ドイツ大使館が在日ドイツ人に国外退避を呼びかけた(これについては 16日の産経新聞が在日ドイツ大使館がウェブサイトを通じ15日までに 呼びかけたと報じていた)。 ところがそれに対し、「国外退去をすすめた事実は公けにはしないで 欲しい」と日本政府からドイツ大使館に要請があったというのだ。 これにはさすがにドイツ大使館も驚いたという。 日本政府は国民に本当のことを知らせないのか、と。 日本国民をいたずらに動揺させてはいけないという口実の下に、政府に 都合の悪い事は隠そうとしているのではないか。そのような疑問が菅・枝野 両名の言動には常につきまとっていたが、その動かぬ証拠を見つけた思いだ。 一事が万事だ。 私の菅民主党政権に対する信用はとっくの昔に失せていたが、このエピ ソードを聞いてからは、菅民主党政権のあらゆる言動がウソ臭いと思う ようになった。 危機を食い止めることよりも、如何にして国民の批判が政府に向かわない ようにする、その事にエネルギーを投入しているように思えてならない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)