□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月4日発行 第155号 ■ ================================================================== 官僚が決める日米同盟の未来 ================================================================== 日米同盟がこれからどうなっていくのか、いやどういう日米同盟に していくのか。それは日本という国の根幹に関わる話だ。 当然のことながらそれは国民生活に直結する。 だからこそ日米同盟の内容は、その時の政権政党が政治的決断を 下し、それを日本国民に示し、了解を得た上で出来上がるものでなく てはならない。 ましてや対米従属の自民党から政権交代を果たし、国民生活第一と 叫んでこの国の舵をまかされた民主党政権である。 ところがその民主党政権が、小沢問題で分裂し、小沢を追い出した 菅民主党政権がそのことで頭の中が一杯になり、政策の迷走を続けた あげく、こんどはその「政治とカネ」によって崩壊しようとしている。 もはや菅政権は機能不全であることは明白だ。菅首相とすべての閣僚 が生き残りで精一杯だ。 ましてや民主党の泡沫議員は、誰についていけばいいのか、民主党に とどまっていていいのか、そんな事ばかりで精一杯であろう。 そのような政治空白の状況下で何が起きるかと言えば、それは 官僚支配の復活である。 官僚が政治に謀反を起こすというのではない。 それであればわかりやすい。国民がそれに気付き、反発する。 官僚といえども国民を敵に回すことは出来ない。 ところが今行なわれている官僚支配の復活はそういう事ではない。 時の政権が自分達の生き残りで精一杯になり、官僚を使いこなす余裕 がないので、政策を官僚に任せきりになる。 官僚の言いなりになってその政策を追認してしまう。 これである。 最悪の形の官僚支配の復活である。 その象徴的な例が日米関係に見られる。 日米同盟の未来は米国と日本の官僚たちで決められようとしている のだ。 3月3日の読売新聞が一面トップで、日米両政府は5月の連休時に 外務、防衛担当閣僚による日米安保協議会(2プラス2)をワシントン で開く方針を固めた、と報じていた。 その記事の書いている内容は次の二点につきる。 一つは菅首相の訪米が不透明になってきたので、閣僚協議(2プラス 2)で日米同盟の将来を決めることで日米が合意したという事である。 二つ目に、菅首相の訪米時に発表するはずであった日米安保新宣言が 困難になったため、それを先送りしたまま、いわゆる「共通戦略目標」を 先行して決めてしまう、ということだ。 この二つが意味するところは、米国と官僚が日米同盟の将来を決める という事である。 史上かつてないほど防衛官僚にとって都合のいい大臣と言われている 北沢防衛相と自他共に認める米国のいいなり政治家前原外相が、官僚の 言われるままに政策を決定する。 実質的に日米安保の将来を決める「共通戦略目標」が、その上位にある べき新日米安保宣言や、新日米安保条約を平然と素通りして、米国と 官僚たちで決められるようとしている。 私が、「官僚が決める日米同盟の未来」と書く理由がここにある。 それが今、日本国民の知らないところで粛々と進んでいる。 これから先、誰が日本の指導者になろうとも、その合意を覆すことは できない仕組みが作られつつある。 事態は深刻である。 了

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