□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月26日発行 第138号 ■ ================================================================== 「政府が問題なのだ」というレーガンの殺し文句 ================================================================== 元祖新自由主義のレーガン元米大統領。 そのレーガン大統領の有名な殺し文句が次の言葉であると、法政 大学の竹田茂夫教授が2月24日の東京新聞「本音のコラム」で書い ていた。 「政府は問題を解決しない。政府(そのもの)が問題なのだ」 この考えこそ新自由主義の根底に流れる思想に違いない。 その新自由主義は、力のある者には儲ける自由を与え、競争から 落後した厄介者に懲罰を与える結果となった。 レーガンの負の遺産である。 そして日本もまた小泉改革以降負の遺産に悩まされ、新自由主義は 国民の一方から悪の権化のように忌み嫌われている。 しかし、「政府は問題を解決しない。政府が問題なのだ」という レーガン大統領の言葉は正しくはないか。 それを思い起こさせてくれたのが、輸入小麦が18%値上げになる、 という2月24日の各紙の報道だ。 日本の小麦消費はその9割を輸入小麦に頼っているという。 だから国際価格の高騰により値上げは不可避であるという。 そこまでは分かる。 しかし問題はその記事の次のくだりである。 「農林水産省は23日、国が輸入して国内製粉会社へ売り渡す小麦 の価格を4月1日より平均18%引き上げると発表した・・・」 なんだこれは。 国際価格が18%値上がりしたのではなく、農林水産省が値上げ したのだ。 各紙は当たり前のように「農水省が政府売り渡し価格を決める」と 書いている。 なぜ政府(農水省)が小麦輸入を独占し、それを国内製粉業者へ 独占的に売り渡す事になっているのか。 なぜ国内製粉業者が直接海外から輸入できないのか。 そうすれば少しでも安いところから買うようになるから、値上げ幅も 少なくて済むに違いない。 それが自由競争ではないのか。規制緩和ではないのか。 なぜ誰もその事を書かないのか。 政府(農水省)にはもちろん言い分があるだろう。 食糧の安全保障は政府の仕事だ、過当競争を防ぐためには政府の監督が 必要だ、などなど。 しかし、本当のところはそれが農水省の権限維持の為だったらどうか。 まさしく「政府は問題を解決しない。政府が問題なのだ」となる。 ひょっとして新自由主義だけが悪いのではないのかもしれない。 民間企業の自由な活動を歪める政府の不必要な介入もまた、新自由主義 と同じように悪いのだ。そうに違いない。 了

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