□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月16日発行 第109号 ■ ============================================================= 菅民主党政権が財務官僚に屈服した揺るがぬ証拠―国会同意人事 ============================================================== 読者におかれてはご記憶の事と思う。 かつて民主党が野党の時、日銀総裁人事に武藤元財務次官を自民党が 天下りさせようとした事に徹底的に反対したことを。 その結果、日銀生え抜きの今の白川総裁が決まった。 あの時話題になったのがいわゆる国会同意人事である。 その国会同意人事について今日(2月16日)の各紙は、いずれも 一段の小さな記事で何事もないかのように次のように報じている。 「衆院は15日午後の本会議で、会計検査院検査官に公認会計士の 森田祐司氏の起用をはじめとする七機関十人の国会同意人事を与党など の賛成多数で可決した。参院は既に可決しており、近く任命される・・」 この何でもない記事は、おそらく99%の国民が、いや100%の 国民が何の問題意識も持たずに読み流す事だろう。 私も、発売中の週刊現代の今週号(2月26日号)のその記事を読まな ければ見過ごしていたに違いない。 その記事を読んでいたために、深い失望感を抱いてこの記事を読まざる を得なかった。 その記事とは「霞ヶ関24時」という匿名のコラム(76頁)である。 そこには要旨次のように書かれていた。 「2月9日、参院本会議で会計検査院検査官の人事が可決された。就任 の見通しとなったのは監査法人トーマツの公認会計士・森田祐司氏だ。 検査官とは会計検査院のトップで、天皇の認証を受ける格の高い役職で ・・・霞ヶ関にとって重い意味を持つ・・・本気で検査をやって(いれば) 大問題が見つかれば、予算を査定した財務省の責任なども問われ、霞ヶ関 の秩序が危うくなる・・・」 こういう書き出しで始まるそのコラムは、公会計専門の森田氏が 「総務省の意向通りに動く便利な人」(経済官庁関係者)であり、当初 官邸では改革の意欲がある別の若手公認会計士が候補にあげられていたが、 それを聞きつけた財務省が官邸に駆け込み、その人事を握りつぶした経緯 を明らかにしている。 そして、そのコラムは次のように締めくくっている。 「検査院に本気で仕事されたら、無駄遣いが露呈し、増税の妨げ になる」というのが財務省の本音だ。こんな人事すら財務省の言いなりに なる菅内閣。もはや笑うしかない。 この記事は2月9日の参院本会議で人事案が可決された時点で書かれて いる。 それから一週間ほどたって2月15日に衆院本会議で可決されて決定した。 その間にこの人事を巡る議論は一切聞かれない。 それを報じる大手新聞は皆無だ。 おそらくその他の九人の人事についても様々な問題点があるに違いない。 我々国民がまったく気づかないところで、この国の官僚支配は政治の混迷 をあざ笑うかのように復活しつつある。 脱官僚を謳って政権交代を果たした民主党政権の挫折は、もはや取り返し がつかないほど大きく、深刻である。 了

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