□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月15日発行 第108号 ■ ============================================================= エジプト市民革命についての識者の論調を読んで時代の変化を感じる ============================================================== エジプト情勢について様々な学者、有識者が、様々な事を語っている。 その物言いでその発言者の立ち居地がわかる。 その識者の名前を聞いて、言おうとしていることの内容が記事を熱心 に読まなくてもわかる。 しかし、今度のエジプトの市民革命に関しては、私は一つの変化を感じ 取るのである。 たとえば次の文章をお読みいただきたい。 「・・・米国はこれまでも外圧でアラブの民主化を図ろうとして きたが、イラク、イラン、アフガニスタン、アルジェリアなど、どこも 失敗している。米国がイスラエルの国益を中東の安全保障の最優先の 課題としていることが原因だ。イスラエルの国益を保護しながらアラブ の民主化を図ろうとする外交姿勢はねじれている。 この異なる二つの目標を解決する道筋は、パレスチナ問題の法と正義に 基づく公正な解決しかない。それができなければ、これからエジプトで 誰が元首になり、どのような政治体制が生まれようとも、米国の中東に おける存在感はますます弱くなる。エジプトにもアラブの地域大国として、 米国に対し中東和平を進めさせる責任がある・・・」 これは私が言っているのではない。 日本政府の立場を支持してきた中東専門学者である山内昌之東大教授 の言葉である。 2月15日の毎日新聞紙上の識者座談会で語った言葉だ。 この山内教授の言葉に限らず、これまで保守的、政府寄りの発言を繰り 返してきた学者や専門家たちが、今度のエジプトの市民革命の推移を目の 当たりにして、米国の中東政策に厳しい発言を始めた。 それは取りも直さず今度のエジプトの市民革命が衝撃的で、感動的で あったからだ。 ムバラク大統領をあっさり見捨てる米国の本性を見せつけられたからだ。 何よりもおためごかしの言葉を弄していれば、国民から相手にされなく なると思い始めたのだ。 何かが変わろうとしている。 そう期待したい。 了

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