□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月10日発行第249号 ■ =============================================================== 有田芳生議員の嘆きとその限界 =============================================================== 書くことがないからこんな事を書いているのではない。いまの政局を象徴 するような記事を見つけたから書いているのだ。 今日発売の週刊実話12月23日号に民主党参院議員の有田芳生の嘆きが 掲載されていた。 その嘆きを大手新聞ではなく、週刊実話という週刊誌でしか書けないとこ ろに彼の限界と日本のメディアの限界があるのだが、以下引用したい。 本来ならばその全文を引用したいところだが著作権の関係もあり要旨だけ を引用する。もっともそれで十分だ。 「私が最も憤りを覚えたのは国会議員のヤジの酷さですね・・・とにかく 罵倒と個人攻撃のオンパレードなんです。しかもこれが国会や会議中と四六 時中続くのだから堪らない・・・某女性議員などは、そのあまりの酷さに 委員長から注意されると、舌をペロリ・・・中には「覚えておけよ!」などと いうチンピラまがいの恫喝ヤジまである始末です・・・一方、同様に怒りと 失望を感じたのは、国会議員の調査能力の衰えです。ある野党議員などは、 質疑で週刊誌の記事を棒読みして問い質す有様なんです・・・もっとも、この 調査能力不足、質問のお粗末さは与党議員も嘆かわしい限り・・・」 有田が嘆くまでもなくこれが日本の国会議員の実態だ。 このような国会議員が722名前後も税金をむさぼってうごめいているのだ。 メディアに登場するごく限られた政治家たちが日本の政治を動かし、その他 大勢の議員たちは、国会の表決や、派閥争いの数合わせでしかない。 こんな政治家たちが、権力を求め、選挙で勝つことを求めて、合従連合を 繰り返しているのだ。こんな政治家たちで出来上がっている政党が生き残り のために政界再編を行なうのだ。 今度の政局がどのような形に発展し、誰が勝とうとも、負けようとも、同じ 事の繰り返しである。国民は救われない。 私が既存の政党、政治家を全否定する理由がそこにある。 しかし、そのような国会の状況を嘆く有田もまたその中で埋没せざるを 得ないのだ。 なぜなら有田もまた既存の政治システムの枠の中でしか当選できない政治家 の一人であり、既存の権力争いのいずれかに与しない限り政治の世界で生き残 れないからである。 私は前回の衆院選挙で新党日本の田中康夫から一方的に公認候補に誘われ、 何の理由も連絡も受けることなく一方的に反故にされた腹立たしい経験を持つ。 しかし、だから書いているのではない。一時的にせよそんな田中の誘いに 乗った私にすべての責任はある。いまさら文句を言うつもりはない。 ここで言いたいのはその時に知ったこの国の政治の実体である。政治家になり、 政治家にとどまる事の実体である。 当時の新党日本は代表の田中と副代表の有田、そして事務局長の平山の三人で あった。そしてこの三人が喧嘩状態、分裂状態であった。 よくもそんな状態で田中は私を誘ったものだが、しかし今から思えばそんな 状態だからこそ誘ったのだと思う。 やがて新党日本では当選できなかった有田は民主党に鞍替えして民主党ブーム で当選し、平山は田中が衆院選に鞍替えし当選しただけの理由で繰り上げ当選し 参院議員となった。田中と喧嘩別れした平山は参院議員になったとたん新党日本 を離れ無所属となり、いまでは民主党別働隊となり、一年生議員でありながら 参院本会議で問責決議反対の答弁を読み上げていた。一人になった田中康夫は 今や亀井静香と並んで国民新党の一員のごとくに振舞っている。 三人とも国会議員として歳費を食み、政党助成金を受け取っている。 田中や平山はともかくとして、有田がいまの国会を嘆くことはそれだけ彼には 政治家としての良心が残っているということだ。 彼には政治家としてやりたいことがあるということだ。 私はそんな有田に期待する。 しかし今のままでは有田もまた彼が嘆くこの国の国会議員の一人に埋没して 終わるだろう。 有田には6年近く参院議員としての任期が残っている。彼が本当に政治家と してやりたいことをしたいのであれば、彼こそ既存の政治家には出来ない本物の 政治政党を作れるはずである。 新党を作っても次の選挙で当選できなければ終わりだ。そして新党では当選 できない。 しかし彼にはまだ6年近く任期が残っている。十分な期間だ。本気になれば やりたい事ができる。それ以上政治家を続けなくても実績は残せる。それで 十分だろう。 それに政治家としての実績を残せば新党は存続、拡大するかもしれない。 果たして有田がその事に気づくだろうか。その覚悟があるだろうか。 彼が週刊実話に寄せた嘆きは、そのまま彼の今後のあり方に跳ね返ってくる。 彼の器量が問われることになる。 了
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