□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年10月2日発行第123号 ■ =============================================================== 壮大なとかげの尻尾きりーその責任は菅・仙谷まで行き着く =============================================================== これから書く事は、私がこれまで書いてきたメルマガの中でも最も深刻な 意味を持つものである。 私しか書けない事である。 今回の特捜検事の証拠改ざん問題が大坪大阪地検前特捜部長ら幹部の逮捕 に至った事が大きな衝撃をもって報道されている。 しかし本当の衝撃はまだ大手メディアは書いていない。それはこれから 始まる大坪らの徹底抗戦だ。 そこまでいかないと今度の問題の真の解明は終わらない。 私が住んでいる栃木県の地方紙「下野新聞」に次のようなやりとりが書かれ ていた。少し長くなるが引用する。 ・・・日曜日の東京・霞ヶ関。検察庁舎を息苦しい空気が包む。トイレに 立った佐賀は、偶然、同じく聴取を受けていた大坪とばったり出会った。 「・・・」いきなり佐賀の手を取り、握り締めた大坪の表情は決意にあふれて いた。「大坪さんも闘っているんだ。否認しているな」・・・これまで身を ささげてきた検察組織へ「徹底抗戦」を挑む思いが共鳴した・・・ これを読んだ時、私は大坪らを応援したくなった。大坪らに味方している のではない。「徹底抗戦」してこの国の建て直しに協力しろと言いたいのだ。 それが彼らのせめてもの罪滅ぼしなのだ。 もはや政権にとどまる正統性も能力も無い菅・仙谷民主党政権が、政権維持 と自己保身のためいまや瀕死の検察組織に全責任を押し付けようとしている。 その検察最高首脳が、みずから責任をとって検察幹部全員の総交替を行なう ぐらいの事をやれば潔かった。 しかし組織防衛と自己保身で、大坪ら一部の幹部に全責任を押し付けようと した。とかげの尻尾きりの連鎖である。 ここに大きな判断ミスがあった。 「私だって特捜にいた人間です」、「逮捕されても曲げられないものがある」 これも下野新聞に掲載されていた彼らの言葉だ。 よく言えばエリート検事の最後の矜持だ。悪く言えば、「貴様ら! よくも そんな事を俺たちにできたな!」という仲間割れだ。 監督責任ではあっても刑事責任ではない。強引な取調べやシナリオ作り捜査 はお前たちもやって来たではないか。この程度のミスはこれまですべて不問に してきたではないか。俺たちを見せしめにして済むと思っているのか。こう いう事である。 「犯人隠避罪は構成要件は厳しい上、双方の供述が食い違う中での逮捕と いうのは難しい判断を迫られる」 これは10月2日の産経新聞に掲載さえていた元東京地検特捜部長石川達紘 氏の言葉である。この言葉もまた今回の逮捕が異例だった事を示している。 私は大坪らの徹底抗戦を願う。この際検察の裏金問題を告発して検察組織の 息の根を止めてみろ。それが大坪らの国民に対するせめてもの償いとなるのだ。 そこまで行ってはじめて今回の事件のケリがつく。 なぜメディアはその事を書かないのか。それは彼らにも責任の一端がある からだ。自らにも責任がはねかえってくるからだ 今回の大坪らの逮捕は、官僚組織の終わりの始まりであり、ある意味で国家 崩壊の始まりである。 その国家崩壊を許したのが菅・仙谷民主党政権であるのだ。 本来ならば時の政権が国家崩壊を守る。しかし今の菅・仙谷政権は検察の 国策捜査で小沢を追放して政権についたという負い目がある。 政権の正統性 さえ疑われるに至っている。政策はことごとく行き詰まっている。 それにもかかわらず権力にしがみついたいのだ。国民の支持率ばかりに目を 奪われて国家崩壊を防げないのだ。 実は国家の崩壊はかなり前から始まっていた。官僚組織の崩壊は何も検察組織 だけではない。 例えば財務省である。かつてノーパンシャブシャブ事件というとんでもない 恥ずべき接待疑惑が大蔵省を襲った事があった。当時の次官候補たちが一斉に 失脚した事があった。あの時点で大蔵省という官僚組織は崩壊していた。 通産省も4人組事件というのがあった。次官候補たちが政治家と結びついて 壮絶な人事抗争を繰り広げた事件だ。あの事件の後遺症はながく通産省を苦し めた。 外務省は機密費横領事件である。あの事件の深刻さは次官以下外務省の中枢 幹部すべてが手を染めていたということだ。その全貌が解明されれば外務省は あの時点で間違いなく崩壊していたはずだ。それを避けるためごまかして終わ らせた。本当の関係者は処罰されないまま、あるいは死んでいき、あるいは逃げ、 あるいは宮内庁の要職にまで天下ってのうのうとしている。 その後に続く鈴木宗男・佐藤優事件があり、その逆襲で起きた核密約問題の 解明問題がある。核密約問題と機密文書隠滅疑惑では、外務省次官経験者らが 敵と味方に別れて罵り合う光景まで繰り広げられた。外務省という組織はあの 時点で崩壊してしまったのだ。 警察もまた裏金問題で立ち上がれないほど打撃を受けた。しかし誰一人責任 を取ることなく幕引きされた。 「法の番人」である最高裁もまた裏金に手を染めていると告発した生田暉雄 という元裁判官もあらわれた。その最高裁の判事には憲法9条を踏みにじって イラク戦争に加担した元外務次官が天下っている。 これらはまっとうな国民の常識では許されないことではないのか。法秩序、 国家秩序の崩壊ではないのか。 国の安全を担う防衛省もまた崩壊した。防衛天皇と言われた次官がゴルフ 接待で実刑を受けた。航空幕僚長が憲法否定発言をして免職となった。その彼 がめちゃくちゃな発言を繰り返し防衛省を貶めている。 三流官庁の数々の犯罪的醜聞は枚挙にいとまが無い。 要するにこの国を実質的に動かしている官僚組織がすべて崩壊していたのだ。 それが今回の検察改ざん事件で又一つ明るみになっただけの話だ。 それにもかかわらずなお官僚たちは国家権力を掌握し続けている。政権交代 が起きても政治は何もできない。それどころか政権そのものが自らの保身で 精一杯となっている。 今回の検察改ざん問題は大坪らの逮捕だけで終わらせてはいけない。終わる はずはない。 検察最高幹部の引責退任だけでも終わらない。 菅・仙谷政権が総辞職し、もう一度総選挙をしてこの国の政権を作り直す。 その政権が、今度こそ崩壊した国家組織、官僚組織を立て直す。 そこまでいかないと日本は立ち直れない。国民は救われない。 果たしてそこまで行き着くか。そうなれば今度の改ざん事件も意味があった ということだ。大坪らの逮捕も納得がいく。 了 おしらせ 1.日経ビジネスオンライン9月29日に私の「新防衛計画の大綱私案」 が掲載され反響を呼んでいます。 オンラインはこちらでお読みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/ 2.ベンジャミン・フルフォードと天木直人の共同講演会のお知らせ 「天木直人のメールマガジン」が大好評の 反骨の元外交官天木直人氏を お迎えし、ベンジャミン・フルフォードと共に日本の現状について(尖閣 諸島での漁船衝突問題の裏事情や本質の問題、民主党の内部構造、小沢一郎 問題、国策捜査、対米従属型外交、新しいメディアを立ち上げる必要性等) 及び世界の最新裏情報や現状の権力支配構造についてたっぷりとお伝えします。 そして皆さまに日本を良くする処方箋を提言していきます。 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミンフルフォード講演、ベンジャミンVS 天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は13時 半からです) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分 費用: 3000円 (学生2000円) 申し込み方法: 氏名、連絡先 、参加人数、支払い方法(持参又は振込み)を 明記の上、 メール(benjaminoffice88@gmail.com)にてお申し込み下さい。 お問い合わせ: ベンジャミンフルフォード事務所 (benjaminoffice88@gmail.com) ※当日費用をご持参の方はお釣りのないようにお願いします。 ※講演会費用は会場レンタル代やホームページ運用代、ベンジャミン フルフォード活動費用に充てさせていただきます。 了
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