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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

三井美奈著「イスラエル」(新潮新書)の一読をおすすめする 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年10月3日発行第124号 ■       ===============================================================          三井美奈著「イスラエル」(新潮新書)の一読をおすすめする       ===============================================================  パレスチナ問題に少しでも関心のある読者には最近発刊されたこの書を 一読されることをおすすめする。  著者の三井美奈氏は最近まで読売新聞のエルサレム支局長であった。  私は彼女がエルサレムから配信する中東情勢の記事にいつも注目していた。 その的確な記事に教えられる事が多かったからだ。  だからこの書が出た時から注目していた。やっと購入して一気に読んだ。  そこに書かれている事柄は確かな視点に基づいた有益な情報ばかりだ。  ユダヤ人国家創設の祖ヘルツルはパレスチナ人との平和共存は可能だと 信じていたこと、  米国と対立していたスターリンはイスラエルが社会主義国になると考えて パレスチナ分割決議に賛成したこと、これが決議181成立に決定的な影響 を与えたこと、  イスラエルという国名の由来は、ユダヤ人の先祖ヤコブが天使と闘った後に そう呼ばれたことから来ていること、  など、知らなかった事も教えてもらった。  なによりもパレスチナ和平のプレーヤーたちと直接会って得られた生の声を 知る事ができる。ジャーナリストならではの書だ。  ここには批判がましいことは何も書かれていない。それでいてイスラエルと 米国のパレスチナ政策に対する痛烈な批判書になっているところがいい。  しかし私がもっとも注目したのは日本の中東政策について書かれた箇所で ある。  彼女はまずノーベル平和賞までもらったオバマ大統領の掲げる核兵器廃絶 の目標は、あくまでもイランの核廃絶だと喝破し、2010年4月に開かれ たオバマ大統領主催の核安全サミットの目的は、単なる核不拡散ではなく、 テロに核兵器を渡さない事だと言い切る。  そしてイランの核武装阻止にかけるオバマ大統領の意気込みは「北朝鮮の核」 への取り組みに比べれば真剣さがまるで違うと言う。  米国の核廃絶、核不拡散にかける熱意とイラン攻撃の緊迫感など何も理解 しない鳩山首相がオバマ大統領に会談を断られ、夕食前の10分間の会談で 鳩山首相が要請されたのはイラン問題だけだったと言う事実は、日本にとって は当て外れでも、米国にとっては当然のことだったという。  極めつけは次のエピソードだ。  2006年7月退任直前の小泉首相が卒業旅行よろしくエルサレムを訪問 した、ちょうどその時、イスラエルのレバノン侵攻が起きた。  小泉首相はオルメルト首相との共同会見で「憎しみの連鎖は利益になら ない。自制を求める」と言い残しヨルダンへ向かった。  そしてヨルダンで世界遺産のぺトラを訪れて駱駝に乗って見学していた ちょうどその時、イスラエルはベイルート空港を爆撃したのだ。  彼女はこう書いている。  「・・・日本の外務省は、日本が、『アラブとも、イスラエルとも仲が いいし、イランともつながりがある』と胸を張っているが、パレスチナ和平 交渉で日本が汗をかいた事は無い。パレスチナに最大級の支援をし、イラン との経済関係も深いのに、イスラエルと米国が共有する危機意識をまったく 理解していない。イスラエルを支援する米国の顔色をうかがい、目立たない ように息を潜めている・・・」  三井美奈氏の「イスラエル」という書は、日本の中東外交に対する的確で 痛烈な批判書でもある。                                了                               おしらせ                        1.日経ビジネスオンライン9月29日に私の「新防衛計画の大綱私案」 が掲載され反響を呼んでいます。 オンラインはこちらでお読みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/  2.ベンジャミン・フルフォードと天木直人の共同講演会のお知らせ  「天木直人のメールマガジン」が大好評の 反骨の元外交官天木直人氏を お迎えし、ベンジャミン・フルフォードと共に日本の現状について(尖閣 諸島での漁船衝突問題の裏事情や本質の問題、民主党の内部構造、小沢一郎 問題、国策捜査、対米従属型外交、新しいメディアを立ち上げる必要性等) 及び世界の最新裏情報や現状の権力支配構造についてたっぷりとお伝えします。 そして皆さまに日本を良くする処方箋を提言していきます。 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミンフルフォード講演、ベンジャミンVS 天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は13時 半からです) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分  費用:  3000円 (学生2000円) 申し込み方法: 氏名、連絡先 、参加人数、支払い方法(持参又は振込み)を 明記の上、     メール(benjaminoffice88@gmail.com)にてお申し込み下さい。 お問い合わせ: ベンジャミンフルフォード事務所 (benjaminoffice88@gmail.com) ※当日費用をご持参の方はお釣りのないようにお願いします。 ※講演会費用は会場レンタル代やホームページ運用代、ベンジャミン フルフォード活動費用に充てさせていただきます。                                   

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