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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

外交より深刻な菅民主党政権の予算編成能力
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年10月1日発行第120号 ■       ===============================================================           外交より深刻な菅民主党政権の予算編成能力       ===============================================================  菅民主党政権は尖閣問題で追い込まれるという見方が出始めた。しかし それは本当だろうか。  昨日(9月30日)の衆院予算委員会の集中審議を見ているかぎり、 とてもそうは思えない。  野党もまた正しい対中外交が示せないからだ。だからこそ菅首相や仙谷 官房長官、岡田幹事長、前原外相などの開き直り発言がまかり通る。  しかし菅民主党政権はもう一つの大きな問題を抱えている。  それは予算編成に関する政治的指導力の無さだ。  国民を失望させ、国民経済を救う事が出来ないだけ、こちらのほうが深刻だ。 政権が倒れるとすればこちらの方ではないのか。  私の勘違いでよければいいのだが、菅民主党政権の予算編成作業はとんでも ない事になっているような気がする。  少し前の事になるが、菅首相が政府・民主党の首脳会議で2010年度の 補正予算案作成を閣僚たちに指示したというニュースが報道された事があった。  これを聞いた私は我が耳を疑った。  その補正予算案を審議する臨時国会は10月1日から始まる。予算案も出来て いないのにどうして予算審議ができるというのか。  そう思っていたら9月29日の日経新聞に次のようなくだりがあった。  ・・・政府・民主党は野党との調整を踏まえて10月下旬に国会に(予算案を) 提出したい考えだ。11月初旬に衆院を通過すれば野党が抵抗して参院で採決を 延ばしても会期内に自然成立できる・・・  なんということか。  臨時国会は最初の一ヶ月ほどは予算案なしに議論されるということだ。 そんな予算委員会があるというのか。  しかも、そんな短期間につくる予算案などは真面目に考えて作られるもの とはとても思えない。  もし野党の要求を丸呑みしてまとめようとするのなら、それは国会審議など 要らない八百長審議だ。談合予算だ。  そして、もし野党が政府・民主党の要求に応じなければ強行採決して参院を 押し通すつもりだ。自民党と同じやり方ではないか。  なぜこの事をメディアは批判しないのか。  それよりももっと深刻なのは来年度(2011年度)予算の編成作業である。  民主党内部からも、「財務省主導のシーリング枠の復活」、「形だけの政治 主導」などという本音が漏れた一律10%カットの編成方針。  その批判をかわすために考案されたのが1兆円超の「元気な日本復活特別枠」 だ。  その特別枠の対象事業を一般から公募し、有識者も加わった「評価会議」で 優先順位を決めるという。  事業仕分けの人気で味をしめた民主党が、予算もまた公開手法で行なうと 宣言したいわゆる「政策コンテスト」がこれだ。  ところがこれが迷走していると、9月29日の朝日新聞が書いていた。  民主党代表選挙で小沢一郎元代表が「もっと政治家が自らの責任で予算編成 を行なうようにしなければならない」と批判して以来、準備作業は失速している という。  当初9月上旬にも固める予定だったコンテストの実施要領はもちろんの事、 評価会議の人選すらも未定のままだという。  しかも、政策コンテストの最大の問題は、特別枠に盛り込む予算要求内容が あらかじめ各省において決められているということだ。  週刊エコノミスト10月5日号はこれについて次のように書いている。  すなわち各省は切れない重要項目をあえて一律カットの予算要求から外し、 この特別枠にそれを盛り込んで「予算復活」をより確実にしようとしていると。  たとえば防衛省で言えば自衛隊員の人件費などがそれだという。  前掲の朝日の記事も「思いやり予算」がそれに盛り込まれると書いている。  さらに朝日の記事は、「政策コンテスト」の募集では業界団体の「組織票」 が集中して、結果的に組織の要求が通る事になるという。  なんの事はない。政策コンテストなどはめくらましだ。  菅民主党政権もまた各省庁や利権組織の予算分捕り合戦を許しているのだ。  わけのわからない新語を増発して国民をごまかそうとしているだけ自民党 政権よりたちが悪い。                                 了                               おしらせ                        日経ビジネスオンライン9月29日に私の「新防衛計画の大綱私案」が掲載 され反響を呼んでいます。  「中国撃つべし」というタカ派の声一色の今こそ、正しい日本の外交・安全 保障政策の重要性が叫ばれる必要があると思います。  関心のある読者の為に、日経ビジネスオンラインの案内を以下の通り紹介 しておきます。                 記 日経ビジネスは雑誌とオンラインで成り立っています。 雑誌は定期購読制です。こちらからお申し込みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html?xadid=002 オンラインはこちらでお読みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/ 会員登録(無料)していただくことで、すべての記事をお読みいただけ ます。 http://business.nikkeibp.co.jp/info/reguser/ 〒108-8646 東京都港区白金1丁目17番3号 NBFプラチナタワー 日経BP社 日経ビジネス オンライン Tel:03-6811-8188 Fax:03-5421-9160 日経ビジネス オンライン:http://business.nikkeibp.co.jp/                                     了  

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