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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 この国には政治家を超える民間人は現れないのか
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年9月30日発行第119号 ■       ===============================================================           この国には政治家を超える民間人は現れないのか       ===============================================================  これほど日中関係が重要な時であるのに丹羽駐中国大使の肉声がまったく 聞こえてこないのはどうしたことだろう。まるで政府・外務省に封じ込め られたごとくだ。  伊藤忠商事会長の頃は、あれほど自らの意見を語っていた丹羽氏である。 今回の事件についても意見があるだろう。  彼にはもはや失う物は何も無いはずだ。これを最後の仕事だと覚悟すれば 何でも言えるはずだ。  最高位の勲章を欲しいとか、更なる将来の野心を考えれば、政府や官僚の 方針に従わざるを得ない。  彼には特命全権大使を引き受けた時点で、自分のためだけでなく国民の ために正しい外交を行なうという大きな責任を負った。  しかし、彼にはもう一つの大きな責任がある。  もし彼が今回の日中関係の重要な局面に何もできなかったということに なれば、「やはり民間人には主要国の大使は無理だ」、という事になって、 大使の政治任用が一気に頓挫する。外務官僚の大使独占が復活し、固定化 する事になる。  所詮民間人には国家大計の仕事はむりだ、民間人は政治家や官僚には及ば ない、というこの国の官尊民卑が定着する。  ここは丹羽大使に頑張ってもらいしかない。  実は、私が期待し、そして失望させられたもう一人の大物民間人がいる。 今日のメルマガの趣旨はその人物について書く事にある  民主党政権成立の影の大立者と言われた京セラの稲盛和夫名誉会長は、今 いかなる心境にあるのだろうかと思う。  JALの再建が頓挫し、ついに社員の強制解雇やむなしの事態に至ったと 連日報道されている。  9月29日の記者会見で稲盛日航会長みずから「2次破綻すると(公的資金 が返せず)国民負担になる。現状では(社員に)協力願うしかない」と語った という(9月30日日経)。  あの時、なぜJALの再建などを引き受けたのか。政権交代を成し遂げた 民主党政権を裏で支える大業を行う事こそ彼の本懐ではなかったか。私は 内心そう思ったものだ。  周知のとおり稲盛氏は財界活動から背を向けて自民党から民主党への政権 交代を訴えていた経済人だ。  小沢一郎、前原誠司の双方に信頼され、慕われている人物であると言われて いた。  その民主党が小沢と前原・仙谷に分裂し、政権維持の危機にある。  彼はそんな事態を避けるべく、影響力を発揮できなかったのだろうか。  稲盛和夫氏は今、どういう思いでこの国の政治状況を見ているのだろうか。 彼の肉声もまた聞こえてこない。  国が独占する電気通信事業に挑戦しようとした時、半年間、自らに自問した という。「動機善なりや、私心なかりしか」と。  稲盛氏はまた、「命も名も官位も金も求めない者は始末に困るが、この始末 に困る者でなければ国家の大業は成し遂げられない」などと語った西郷隆盛を こよなく敬愛する人でもある。  そのような稲盛氏に私は好感を抱いた。期待もした。  しかし彼もまた日本の政治をどうすることもできなかったようだ。  この国には政治家を超える民間人は現れてこないのか。  政治家と官僚を叱る民間人を求める事は、官尊民卑の日本では所詮無理な 注文なのだろうか。                          了    おしらせ  日経ビジネスオンライン9月29日に私の「新防衛計画の大綱私案」が掲載 され反響を呼んでいます。  「中国撃つべし」という声一色の今こそ正しい日本の外交・安全保障政策が 必要であると思います。  関心のある読者の為に、日経ビジネスオンラインの案内を以下の通り紹介 しておきます。                 記 日経ビジネスは雑誌とオンラインで成り立っています。 雑誌は定期購読制です。こちらからお申し込みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html?xadid=002 オンラインはこちらでお読みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/ 会員登録(無料)していただくことで、すべての記事をお読みいただけ ます。 http://business.nikkeibp.co.jp/info/reguser/ 〒108-8646 東京都港区白金1丁目17番3号 NBFプラチナタワー 日経BP社 日経ビジネス オンライン Tel:03-6811-8188 Fax:03-5421-9160 日経ビジネス オンライン:http://business.nikkeibp.co.jp/                                     了  

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