□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月10日発行 第87号 ■ =============================================================== 鈴木宗男を裁いた最高裁判所に外務官僚が天下っていたという事実 ================================================================ 9月10日の日刊ゲンダイは、鈴木宗男を葬り去った最高裁判所の判事の 一人に竹内行夫元外務事務次官が天下っていたという事実を指摘している。 この事はもっと国民に知らされてもいい。しかし大手メディアでは決して 報じない。 もっとも、鈴木宗男の上告棄却を決定したのは最高裁第一小法廷であって、 第二小法廷に属する竹内判事が決定を左右したわけではない。それは日刊 ゲンダイの記事も認めている。 しかし、竹内氏は田中真紀子元外相の一大騒動で外務省が混乱した時に事務 次官になり、鈴木宗男を外務省から追い出した張本人だ。 外務省は総力をあげて鈴木宗男の復活だけは許せないと思っている。竹内 判事は外務省の組織防衛を担った外務省OBなのである。 司法官僚の権化のような最高裁判所が、仲間の一人である竹内判事の立場 からまったく無縁であるとは言えないだろう。 しかし、もっと重要な事は、竹内判事は違法、違憲判事であるということだ。 竹内判事は小泉首相がブッシュ大統領のイラク攻撃を支持した時の外務事務 次官である。 イラク攻撃が国際法違反であることはもはや世界が認めるところだ。 しかも名古屋高裁は自衛隊のバクダッド派遣は紛れもない戦争協力であり、 違憲である、との判決を下した(08年4月)。 さらに竹内判事は事務次官の時、米国がテロとの戦いのために在日米軍の 再編に協力せよと日本に迫った時、それが日米安保条約を逸脱したものであり、 それに協力する事は憲法9条違反であると認識しながら、政治宣言でごまかし た姑息な人物だ。 要するに違憲を犯し続けた人物なのだ。 司法試験を経ることなく最高裁に天下る違憲官僚。 それがまかり通っている。違憲判事が人を裁いている。 それが大問題なのである。 本来ならば総選挙の時に行なわれる最高裁判事の国民審査で、国民の手で 不適格の烙印を押して追放さるべき判事である。 そしてその機会は一度だけあった。 彼が判事に就任した08年10月の後に開かれた最初の衆院選挙(09年 7月)の時だ。 しかしその時は、国民は誰も気づかなかった。メディアは教えなかった。 今度の鈴木宗男の上告棄却判決で、小沢支持者はこの最高裁の判決の背景に 小沢つぶしを感じる。 日刊ゲンダイの記事で国民は竹内判事の存在を知る。 しかし時すでに遅しである。 国民審査は10年に一回だ。次回の国民審査の時は竹内判事は任期満了で めでたく定年になっている。 まったくいい加減な制度が官僚たちによって作られて大手を振って通っている。 小沢一郎を一度総理にさせてみて本物の改革を見てみたいと思う国民が考える のは当然だ。 官僚たちが小沢潰しに奔走するのもまた当然だ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)