□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月29日発行 第71号 ■ =============================================================== 仙谷官房長官の政治資金疑惑をスクープした朝日新聞の背後を深読みする ================================================================ 今日のトップニュースは何と言っても朝日新聞のスクープだ。 仙谷官房長官の政治団体が長男の事務所の賃料・人件費に支出していたと いう疑惑をすっぱ抜いた。 折から天下分け目の民主党代表選挙である。 政治資金規正法違反という「政治とカネ」の問題は小沢一郎攻撃の最大の 問題だ。 その「政治とカネ」の問題が、今度は反小沢陣営の首領にもあったという。 いうまでもなく、小沢と菅の闘いは、菅を後ろでコントロールしている仙谷と 小沢の闘いである。 東大受験と司法試験を何度も失敗してあきらめた小沢に、俺はそのどちらも手 にしたと優越感を抱く(週刊ポスト7月30日号)傲慢な仙谷。 土井チルドレンから出発した学生運動家崩れの左翼転向者ごときにこの国の 政治をいいようにさせるわけにはいかないと考える元自民党大物政治家小沢。 その和解できない天下分け目の闘いにおいて、反小沢の急先峰である朝日が なぜこのタイミングで仙谷氏の「政治とカネ」の問題をスクープしたのだろう。 確かに小沢氏の「政治とカネ」の問題と今回報道された仙谷氏に「政治とカネ」 の問題は規模も性格も違う。 しかし仙谷氏の疑惑は長男に政治資金が渡っていたこと、つまり家族ぐるみで 政治資金を食い物にしているという反国民的性格を有している。やはり悪質だ。 菅・仙谷陣営にとっては痛手になる。 実は仙谷氏のこの政治資金規正法違反疑惑は、ネット情報ではすでに流されて きた。 しかし大手新聞の朝日新聞が流す事のインパクトは計り知れない。 ネット情報など見たことのない一般国民がそれを知る事になるからだ。 反小沢の論陣を張ってきた朝日でさえも隠せない大きな問題となりつつあると いうことなのか。 それとも朝日にもジャーナリズム精神がまだ残っていたということなのか。 その答えは、他の大手メディアもこれを後追いし、仙谷問題が発展していくか、 それとも荒木国家戦略相のキャミソール問題のように握り潰されて終わって しまうかによって判断できる。 米国の手先に成り下がった感のあるこの国のメディアは、まず小沢をこの国の 政治から追放し、そしてその後は、左翼的な仙谷とその傀儡である菅を脅かして、 この国の政治を一気に対米従属の方向に持っていこうとしているのではないか。 その脅しをちらつかせるための仙谷疑惑のスクープではないのか。 脅す相手を倒してしまっては意味が無い。目的を達成するためには生かし、魂を 抜いた傀儡にしておく必要があるということだ。 興味が尽きない朝日新聞のスクープ記事である。 その展開から目が話せない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)