□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2009年12月29日発行 第517号 ■ ────────────────────────────── アウンサンスーチーさんの解放に向けた米中外交協力 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12月28日の毎日新聞が一面トップでミャンマーのアウンサンスーチーさん解放をスクープしていた。 ミャンマーの軍事政権は来年にも総選挙を行い、その前にアウンサンスーチーさんを解放するという。 総選挙にはスーチーさん率いる最大野党「国民民主連盟」も参加するという。 これが事実としたら大きなニュースだ。 米国が最近ミャンマーの民主化実現に向けて動き出していたのは報じられていたが、ここまで進んでいた とは驚きである。 注目すべきはこの動きの背後に見え隠れする米国と中国の外交協力である。 アジアでの連携を深めつつある米中が、お互いの利益のために連携しあってミャンマー軍事政権に 働きかけたと見るべきだろう。 毎日新聞はこう書いている。 「米国が仲介する形で軍政とスーチーさん率いる最大野党が歩み寄り・・・軍事統治の打撃にならない形で 『漸進的な民主化』のステップを踏む事は、中国にとっても好ましいのだ・・・」 米国にとってもブッシュ政権時のミャンマーの孤立化政策によって、ミャンマーが中国への依存度を強める ことは決して得策でない。 ミャンマーは木材や地下資源に恵まれている。おまけに米国にとってはミャンマーを孤立化させ、テロとの 結びつきが進む事は避けたい。話し合い外交に舵を切ったのだ。 その陰で日本のミャンマー外交は戦略ゼロである。 ビルマは日本との関係が深く、援助を供与し続けてきた国であるにも関わらず、である。 アウンサンスーチーさんの解放に向けて米国外交を進めたのはキャンベル米国務次官補である。 キャンベル国務次官補といえば我々日本人は普天間基地移設問題しか頭に浮かばない。 しかしキャンベルにとっては、普天間問題はその仕事の一つでしかない。 当然の事ながら様々な米国のアジア外交を同時並行して行っている。 習近平国家副主席の天皇会見問題で日本中が大騒ぎをしているが、中国外交にとってそれは一部でしかない。 大国へ向けての様々な布石を同時に打っているということだ。 ひるがえってわが国の外交はどうだ。 普天間問題が政権を揺るがす大問題となっている。習近平国家副主席の天皇会見問題は今でも大きな 国内論争の対象となっている。 その一方で日本にとってプラスになる外交は何一つ進んでいない。 きょう12月29日の読売新聞は、岡田外相の訪ロでは北方領土問題で何の進展も見られなかったと報じていた。 来年1月2日ー5日のトルコ訪問の後でミャンマーを訪れる予定であったが日程調整がつかず見送った、とある。 そういえば鳩山首相のCOP15会議出席も日本の点数になるどころか、合意形成の外交の中でその姿は見えなかった。 日本の外交は本物の外交ではない。国民にとって利益をもたらす外交はなされていない。 外務官僚の手による外交は、私が外務省にいた時も今も、すべては政治家の国内政治向けの パフォーマンス外交を優先する。 それは決して本物の外交ではない。国民のための外交ではない。 ______________________ 天木直人のメールマガジン 2009年12月29日発行 第517号

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