□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2009年12月14日発行 第494号 ■ ────────────────────────────── 日米同盟を考える上での昭和史の奥深さ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 考えてみたらいい。もし8月の総選挙で自民党が勝っていたら、そして自民党政権が今でも 続いているとしたら、果たして普天間基地問題がこれほど大きな問題となっていただろうか。 断じてない。 それどころか、来年の日米安保条約改訂50周年を絶好のチャンスとして、「新しい日米同盟」 の名の下に、自民党政権と官僚の手によって作られようとしていた対米従属の固定化、永久化が 粛々と進められていたに違いない。 昭和史を少しでも知る者は、戦後の日本の対米従属は、昭和天皇を利用して日本の占領を円滑に 行おうとした米国のもくろみと、なんとしてでも天皇制を守りたかった当時の日本の指導者たちとの 合作で出来上がった国策であった事に気づく。 そして、東京裁判によって戦争責任をすべてA級戦犯に押しつけたつもりが、その直後に もっと深刻な脅威、つまりソ連共産主義の脅威が昭和天皇を脅かした事を、昭和史は教えてくれている。 ソ連共産主義の脅威から昭和天皇を守るためには、日本を共産化してはならなかった。 そしてそのことは、米国の「逆コース」政策(憲法9条で武装解除したはずの日本をアジアの反共の 砦にするため方針を大転換したこと)と見事に一致した。これが日米安保体制なのだ。 それだけではない。米国ジャーナリストをして、「米国が軍事力を使わずに傀儡政権を打ち立てた 戦後はじめての成功例」と言わしめた、岸信介とCIAのつながり(ティム・ワイナー CIA秘録) に象徴されるごとく、対米従属は自民党政権の党是でもあった。 こう考えていくと、政権交代とともに、日米関係が見直されるようになったのは、大げさに言えば 歴史の必然であるといえるのだ。 そして、その昭和史の奥深さを知らせてくれる本がまた一つ現れた。 今日発売の週刊現代で、作家猪瀬直樹氏(東京都副知事)の最近著「ジミーの誕生日─アメリカが天皇明仁 に刻んだ『死の暗号』」(文芸春秋)が紹介されていた。 猪瀬氏はその著書の中で、東條英機元首相らのA級戦犯の処刑日12月23日が、明仁天皇の誕生日と 周到に一致させられていた事を指摘している。 彼は言う。これはマッカーサーが日本に仕掛けた「壮大な時限爆弾」ではなかったのか、と。 マッカーサーは東條らに、「我々は天皇を裁かないが、代わりにお前たちを裁く」とわからせた上で、 昭和天皇と皇太子に対しては、「あなたたちも戦争責任と無関係ではない。それを忘れてはならない」という 重大なメッセージを送ったのだと。 誕生日を祝賀するたびに、「代わって処刑されたA級戦犯の事を忘れるな」と十字架を背負わせたのだと。 猪瀬氏はさらに言う。「記念日」を重視するのはGHQの占領政策の特徴であった、と。 A級戦犯が起訴されたのが昭和天皇の誕生日である4月29日。憲法が施行された5月3日は東京裁判が 開廷された日であると。 猪瀬氏は言う。「今回の作品には部分的に意図的な『仕掛け』、『味付け』はしているが、歴史上の史実に 関しては、すべて事実だ」と。 そして最後の猪瀬氏の次の言葉が、このメルマガの筆者である私が繰り返して強調してきた事である。 「・・・私は東京工業大学で講座を持っていることもあり、最近の若い人たちがあまりに日本の近代史を 知らない事に危機感を覚えています・・・日本の劣化を食い止めるためには、自分たちの歴史を知る必要がある。 歴史を背負っているのは、なにも天皇だけじゃない・・・」 正しい日米関係が築けるかどうかは、最後は国民の判断にかかっている。 その国民は、政治にゆがめられることのない正しい史実を知らなければならない。 __________________________________________ 天木直人のメールマガジン 2009年12月14日発行 第494号

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