□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2009年12月12日発行 第491号 ■ ────────────────────────────── 佐藤優氏が喝破する外務省組織の危機 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発売中の月刊文芸春秋新年特別号に、元外務省主任分析官の佐藤優氏が注目すべき記事 を寄せている。 彼の書くその他の記事はともかくとして、外務省関係について論ずるものは第一級だ。 今回の文芸春秋の、「岡田外相『密約開示』が暴く外務省の恥部」、と題する記事もまた 極めて鋭い。果たしてどれほどの読者がその意味を正しく理解して読んでいるかと思う。 彼がその記事の中で声を大にして糾弾しているのが、核密約をめぐる外務官僚の虚偽答弁と、 文書隠匿、隠滅の責任である。 岡田外相が正直に国民の前で調査結果を開示すれば、藤崎一郎駐米大使や藪中事務次官を含め、 外務省の大規模な人事粛清につながる可能性がある、と彼は言う。 もっとも岡田外相にそれだけの器量と覚悟はないと私は見ている。 それは、核密約の最終的な取り扱いを御用学者で固められた有識者会議に委ねた事を見ても明らかだ。 私が佐藤氏の記事で注目したのは、むしろ核密約以外の部分である。 たとえば、一連の省庁改革にあって、統廃合にも晒されず、名称変更もなされなかったほぼ唯一の省が 外務省であり、さまざまな利権や特権が手つかずで残されている「最後の聖域」であると見抜いている ところである。 たとえば、外務省次官経験者などで固められた外務人事審議会という内輪の組織が、外務省の給与や人事を 答申している不透明さを指摘し、これを人事院に統合しなければ、外務官僚だけが享受している特権を無くす ことはできない、と断じているところである。 たとえば、当初11月をメドに調査結果を国民に報告することになっていた密約解明作業が遅れたのは、 外務官僚の英文文書を読み解く語学力の低下であり、この無能さこそが外務省がもっとも隠したいところで ある、と推論しているところである。私も同感だ。 そして機密費である。外交機密費のうち一部が官房機密費として官邸に上納され、そこからさらに外務省に キックバックされていた。もしこの事実が明るみになれば、外務省の根幹に位置する人々が次々と連座する、 この急所に岡田外相がメスを入れる事ができれば、積年の膿が一気に噴出すると言い当てているところである。 それらの外務省の諸問題に取り組まねばならない岡田外相に対する佐藤氏の評価は厳しい。 彼は言う。岡田外相は準備不足で就任したために、思いつきで判断してしまう、と。「自分が正しい」と 思い込んだら軌道修正が利かない、と。周りのブレーンに人材がいない、つかない、と。「男の田中真紀子」 だと。的確な指摘だ。 思わず笑ってしまったのは、逆説的にいえば、そのような、一切、「なあなあ」が通じない人物でなくては、 伏魔殿である外務省の組織改革は出来ない、その意味で岡田外相は、まさに天の配剤ともいうべき存在だ、と 言っているところだ。 これもまた同感だ。岡田外相がそう思い込んだらの話ではあるが。 __________________________________________ 天木直人のメールマガジン 2009年12月12日発行 第491号

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