■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年11月4日発行 第432号 □■ ─────────────────────────────── ■ 藤原帰一教授の日米関係論─その是と非 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発売中の「週刊ダイヤモンド」11月7日号に、藤原帰一東大法学部政治学教授の 「官僚主導の日米関係を組み替えよ」という論説があった。 それは、普天間基地の移設をめぐって乱気流に呑み込まれている鳩山新政権に対する助言である。 私はそう読んだ。 彼は問う。普天間基地移設問題が民主党政権のアキレス腱のように騒がれているが、それは日米関係の 最大の懸念なのか、と。 そして彼はきっぱりと、「私は、まったく、そうは思わない」と断じる。 この点については私も同感だ。 藤原教授は続ける。 普天間基地移設問題があたかも日米間の最大の問題かのようになってしまったのは、この問題が米国の 国務省と国防省、そして日本の外務省と防衛省という官庁主導で話し合われてきたからであるからだ、と。 これも鋭い指摘だ。 普天間基地移設問題が官僚主導で行われて来たということは、少なくとも米国にとっては最重要課題ではない ということだ。オバマ大統領の最大の関心事項でないということだ。 だからこそ普天間基地移設問題が米国の官僚に委ねられてきたのだ。 官僚主導の話し合いが続く限り、その結論は対米従属に終わってしまう。 藤原教授は更に続ける。 そうであれば、普天間基地移設問題が首脳間の交渉になってしまった後も、首脳会議は官僚たちのつくった 合意の後追いをする以上のものではなくなってしまう、と。 これも鋭い指摘だ。ここまでは大筋において賛同できる。 私が違和感を持つのは、彼の言う結論部分である。これが彼の、鳩山首相に対する助言の部分であると 私は読んだ。 藤原教授は言う。 もし鳩山民主党が、普天間基地の返還を米軍基地追放の第一歩として考えているのなら、日米関係は 確かに揺らいでしまう、と。 そして、そうしてはいけない、米国にとって最重要でない普天間基地問題で頑張って日米関係の根幹を悪く する危険を冒さなくても、アフガンやソマリアなどの破綻国家における平和構築や、北朝鮮・イランなどへの 核拡散防止といった、日米双方にとって取り組みやすい政策に一致点を見出すことはできる。 これらの方が米国にとってはるかに重要であり、その米国にとっての重要な分野で協力関係を進め、そこから 日米関係の将来を組み立てて行くのであれば、普天間基地や日米地位協定改定問題が日米関係全体を揺るがす よう事にはならない、と。 この助言は、一見もっともなように聞こえる。 しかし私はこのような、安全保障分野を中心にした、つまり日米同盟を前提にした対応しか考えようと しない、出来ない発想こそが、日米関係をいつまでたっても正しくできない最大の原因だと思っている。 藤原教授に言われるまでもなく、自民党も、そしてそれを引き継いだ民主党も、その方向で動いてきた。 政治主導の外交も、官僚主導の外交も、同じようにその分野での協力を推し進めて来たのだ。 だからいつまでたってもジレンマから抜け出せないのだ。 この藤原教授の助言には、大きな視点が欠落している。 それはアフガンと言い、北朝鮮と言い、イランと言い、米国のこれらに対する外交・安全保障政策の根幹は 「テロとの戦い」であるということだ。 そして米国が最重視している「テロとの戦い」とは、決して世界のすべての国が普遍的に掲げている共通の 戦いではない。 それどころか、世界を分断し、世界を不安定にする間違った戦いである。 「テロ」が起きる最大の理由は、イスラエルと米国のパレスチナ弾圧政策にある。 イスラエルや米国がパレスチナ弾圧政策を改めれば、たちどころに「テロ」は終わる。 この事を藤原教授が知らないはずはない。 知っていながら、あえてパレスチナ問題に言及しないのは、つまるところ日米関係を何よりも最優先しろという 洗脳だ。 知らないでそう言っているのであれば米国の外交・安全保障政策を語る資格はない。 米国の中東外交は、日本の平和外交とは相いれない。 日米同盟を重視する限り、首脳外交であれ、官僚外交であれ、日本の外交はジレンマから逃れる事はできない。 日米関係の悪化を恐れてはならない。 平和外交を唱えて、それで日米関係が悪化するのなら、それは米国が間違っているのだ。世界はそれを 知っている。 ──── 天木直人のメールマガジン 2009年11月4日発行 第432号

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