■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年11月3日発行 第431号 □■ ─────────────────────────────── ■ 政権交代後の国会審議を正しく評価する ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国会討論は委員会審議が本番だ。特に予算委員会審議は国会審議の華である。政権交代後の 国会審議をどう評価すべきか。 私はその初日である2日の予算委員会員会を聞く為に、終日を費やし、ほぼすべての質疑を聞いた。 「金はないが暇ならある」さすがの私も、こんな馬鹿な事はもうしない。これで十分だ。しかし、 初日の予算委員会審議を聞いて、政権交代後の国会審議のおおよその問題点がわかった。 今日の新聞各紙もこの国会審議の模様を大きく取り上げられていた。しかしいずれも断片的だ。 この機会に政権交代後の国会審議の正しい評価を書いてみる。少し長くなるが国会審議に興味のある暇な 読者な付き合っていただきたい。 何といっても官僚答弁の出る幕がなくなって、政治家同士が生の声で質疑応答するようになった。 これは政権交代後の国会審議の最大の成果だ。 国会法などを変えなくても、その気になれば出来るのだ。 もし、この調子で今後とも官僚答弁を排する国会審議が続くならば(参考情報とか、資料のような事実説明 までも排するという意味ではもちろんない)、間違いなく国会審議は政治家同士の真剣な討論の場になるだろう。 次に感じた事は、与党の質問のつまらなさである。この事についてはつとに私は強調してきた。与党は 受けて立て。質問時間はすべて野党に与えよ、と。 これが伝わったかどうかは知らないが小沢幹事長やその側近はそう言い出していた。 ところが民主主義の自殺行為だとか、国会議員の命は質問だ、などという反対の意見が出ていつのまには 中途半端な形で与党議員の質問が行われるようになった。 有意義な質問ができるならいい。オンブズマンとしての発想から質問するのならいい。 しかしそのような要求を行う者の本音は、自己宣伝であり、自らの政党の存在価値を見せ付ける というものだ。いい質問ができるはずはない。 考えてみるがいい。民主党議員が民主党総裁を批判すればそれは自己矛盾だ。社民党が民主党の政策を本気で 批判するくらいなら、連立政権を離脱するほかはない。 昨日の与党議員の質問は実につまらなかった。自民党政権下での八百長質問もひどかったが、迫力が なかっただけもっとつまらなかった。こんなものはいずれなくなっていくだろう。 与党の質問を認めるぐらいなら、国民新党よりもはるかに多く、社民党とほぼ同じ300万票の得票を得た みんなの党が質問時間を与えられえなかった事は大きな誤りだ。 みんなの党の肩を持つつもりはないが、渡辺喜美や江田憲司の怒りはもっともだ。国会運営はあまりにも 不透明、恣意的に決められている。みんなの党は、単に文句を言うだけでなく、国民の前でこの不当さを 徹底的に抗議し、今度の国会中に質問時間を獲得しなくてはならない。 野党になった自民党議員の質問ぶりは結論から言えば弱かった。攻めあぐんだ。それは自民党の政治家が 野党になり切れていないからだ。上から目線の説教調になっているからだ。これではつまらない。 野党質問の真骨頂は徹底した政府批判であり、追及である。 この点は今後の質問で自民党議員も学んでいくだろう。立派な野党に成長し、鳩山連立政権を国民に代わって 厳しく追及するようになってもらいたい。 政治家同士の真剣勝負の何が面白いかというと、質問する方も答える方も、政治家としての力量が問われる事 になるからだ。これこそが国民が政治家に望んでいることだ。 政治家もまた馬鹿な質問や答えが出来なくなる。おのずと政治家が淘汰されていく。淘汰された政治家は テレビの政治娯楽番組にでも出て勝手な事をしゃべればいいのだ。 そのテレビで思い出したのだが、ここはテレビ討論じゃないんだぞ、と言ったヤジが民主党席から 飛ばされたりしていた。 このヤジに限らず、民主党席からの自民党議員の質問にヤジが飛ばされ、鳩山首相の答弁に対するは拍手 の嵐だ。これは実に不愉快だった。まるで小泉チルドレンの騒ぎと同じだ。 そう思っていたら、11月3日の読売新聞「国会新景」で、民主党の新人議員が議員用傍聴席を占拠し 応援団をさせられていたという記事があった。民主党国対委員会の指示だという。 こんな議員にも巨額の歳費と議員特権が与えられているのである。政治はそもそも反国民的だと私が常に 指摘している通りである。 私は鳩山首相の答弁には好感をもった。他のどの閣僚よりも誠実に、謙虚に対応していた。他の閣僚を 制して答えるように努めていた。 「あなた方に言われたくない」発言は自分が考えた言葉だと認め、謝罪した。菅直人の「官僚は大馬鹿」 発言を「私は官僚は馬鹿ではない」と言ってたしなめた。 正しい首相の姿だ。 普天間基地問題や日米同盟問題についての曖昧答弁は弱点だったが、早晩政治的決断を下さなければ ならない問題であり、鳩山首相もそれを覚悟していると見た。 やはり私が期待するのは野党に徹する共産党議員の予算委員会での質問である。 今日10月3日の東京新聞では、共産党の市田忠義書記局長が2日の記者会見で厳しく民主党を批判 したという。 普天間基地問題で衆議院選挙中に県外・国外移設が望ましいと言っていたにも関わらず明確な態度を示さない のは公約違反だと厳しく批判した、という。 閣内不一致発言と相まって、これは鳩山民主党政権の最大に問題だ。共産党議員には、自民党政府に対して 迫っていた時と同じように、鳩山民主党政権の矛盾については、国民に代わって厳しく追及してもらいたい。 最後に付け加えれば、国会審議は必要に応じて年中行われるべきだということだ。 政治家がテレビの娯楽番組にでて勝手な事をしゃべる事がいつの間にか当たり前のようになった。 そんな暇があるのなら国会で討論すべきだ。誰に質問させるとか、質問事項を事前に通告するかしないか、 などと言った瑣末な事で議論するよりも、野党議員から質疑を挑まれたら閣僚はどのような問題でも受けて立つ、 政策を学び、その準備をいつもしておく、それこそが常在戦野ということではないのか。 選挙に勝たなければ政治家にはなれない。そのためにはテレビに出て名前を売り込む。しかし、 まともな国会議論を逃げていては政治家にとどまる資格はない。 ──── 天木直人のメールマガジン 2009年11月3日発行 第431号

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