■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年10月13発行 第398号 □■ ──────────────────────────────── ■ 鳩山民主党政権はまた、「暗黒の世の中」を変える決意を国民の前で宣言してほしい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 政権が交代しても、すぐに世の中がよくなるわけではない。それどころか解決できない事があまりにも多い。 これから書く事もその一つである。 10月11日の朝日新聞書評欄に「襲われて」(岩波新書)という本の書評があった。 著者は岐阜県御嵩町の元町長であった柳川喜郎氏である。NHKの元解説委員を経て町長になった人だ。 その柳川町長が産業廃棄物の処理場建設に反対したため暴漢に襲われ殺されかかる事件が起きたのは 96年の事だ。 あれから13年。まだ犯人は捕まっていない。 この本はその柳川元御嵩市長が、自身の裁判記録などをもとに綴った手記である。 その書を私はまだ読んではいない。 しかしその書を書評する元朝日新聞編集委員でフリージャーナリストの松本仁一氏の次の言葉を どうしても読者に紹介したくてこのメルマガを書いている。 彼は言う。犯人はまだ見つかっていないが、事件の直前に町長の自宅アパートに盗聴器を仕掛けたのは地域の 元暴力団員だった、と。処理場建設を計画していた産廃業者からこの男に渡った金はなんと4千万円であったという。 それでもその金の支払い目的は明確にされずじまいで終わり、産廃業者はお構いなしとなる。 それはそれでおかしな話だが、それ以上に驚くのは意味不明な金を4千万円も使って平気なほど産業廃棄 ビジネスはボロ儲けという事である、と松本氏は述べる。 そして松本氏は次のようにこの国の行政の矛盾を鋭く指摘する。 「わが国は産業立国だという。だとすれば、産廃は避けて通れない問題だ。にもかかわらず、国は産業処理に ついての明確な政策を持っていない。廃棄物を持てあました企業はその処理に大金を払う。埋立地を確保できた 業者はじゃぶじゃぶ儲かる、という構図ができあがる・・・」 松本氏はさらに続ける。 「埋立地確保の裏では脅し、暴力、金銭の誘惑が横行する。反対する住民の集会に暴力団が押しかけ、 町議会の傍聴席には戦闘服の右翼が陣取る・・・不審なのは県の態度である。処理場の建設は、業者の申請を 県が審査して可否を決める。その申請が不備だらけなのに、県は却下するどころか、(逆に)町に建設受け入れの 圧力をかける。まるで業者の代理人みたいなのだ。知事は建設官僚OBである。そして県警。初動捜査は甘く、 動きは鈍い。業者の会社には県警のOBが天下っている・・・」 その書評の最後を、松本氏は次のようにしめくくっている。勇気ある柳川元御嵩町長への最大の讃辞である。 と同時にこの国の政・官に対する痛烈な批判である。 鳩山民主党政権の課題は、果たしてこのようなこの国の闇にメスを入れ、善良な市民の側に立って強権を 発動することが出来るであろうか。 「著者は07年に町長の座を退いた。それから2年が過ぎて本書を『出し遅れの証文』と謙遜する。 しかし私たちが避けて通れない産廃の問題をじっくり考えさせてくれるという意味で貴重な記録である。 同様の問題は全国の地方自治体で起きている」 ──── 天木直人のメールマガジン 2009年10月13日発行 第398号

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