■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年8月9日発行 第300号 □■ ──────────────────────────────── ■ マニフェストに欠落している小泉改革に対する評価 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 選挙戦がつまらなくなってきた。なぜか。それは官僚的発想の所産であるマニフェスト競争に、論点が 堕してしまったからである。 国民が求めているわくわくする選挙から遠ざかってしまったからである。 今の日本の窮状をもたらした最大の元凶は小泉自公政権の5年半ではなかったのか。 米国のいわれるままに日本を米国に差し出した小泉偽構造改革ではなかったのか。 国民はその事についての真実を知りたいのだ。 そうではない、まだ構造改革が足らないから日本はだめになったのだ、と言い続ける小泉・竹中一派と それを支持する財界、メディア、国民がこの国には今でも存在する。 その一方で、小泉改革の否定からすべてが始まると主張する政治家、識者がいる。多くの国民がそれに気づき始めた。 そうであれば、この事を正面から論じてはじめて、今度の選挙の意味があるのではないのか。 国民は熱くなるのではないか 思い起こせば4年前の総選挙は郵政改革是か非かの一点で争われ、国民がそれに熱狂した。 そうであれば、4年たった今、郵政改革は国民にとっていいことをもたらしたのか、小泉改革は正しかったのか、 その一点に絞って選挙を行うべきではないのか。 似たようなマニフェストの欠点をののしり合うような官僚的選挙よりも、小泉改革をさらに進めるのか、それを 否定してチェンジするのか、というわかりやすい選択選挙にすべきではないのか。 そう思っていたら、奇しくも8月9日の新聞において小泉改革をめぐる好対照の識者の論説が掲載されていた。 8月9日の東京新聞「時代を読む」で、学習院大学の佐々木毅教授は、自民党のマニフェストから小泉改革を 思わせる言葉が影を潜めている事を批判し、次のように主張している。 「日本の『改革』は小泉政治や郵政民営化で終わったわけではなく、まだまだ『改革』しなければならない課題が 山積している・・・この総選挙の最大のテーマ(は・・・小泉改革の)先の「改革」が問題なのである」、と。 小泉改革を擁護する立場から必ずでてくるこの手の主張は、しかし、詭弁である。 小泉改革は改革ではなかった。民営化ではなかった。 官僚利権を温存し、対米従属に終始し、日本経済を分断し、弱者へ痛みを押しつける悪政でしか なかったのだ。 佐々木氏の主張と好対照の主張をしているのが佐伯啓思京都大学教授だ。 佐伯氏は8月9日の産経新聞「日の蔭りの中で」で、アメリカ発の世界経済危機に日本がここまで翻弄された 理由は小泉構造改革にあるとした上で、だからこそ小泉改革の方向がよかったかどうかこそ、今回の選挙の最大の争点 になるべきではないか、と主張している。 しかし自民、民主両党のマニフェストは見事にそれが欠落していると喝破している。 私が注目したのはそのあとに続く次のくだりである。 ・・・朝日新聞に面白い記事がでている。(4年前の)郵政法案の参院採択の1時間前、小泉首相と麻生氏が 対面していた。麻生氏は、解散総選挙に持ち込んだ場合、選挙に勝てるか、と首相に問うた。返ってきた答えは、 「勝てる」というものではなく、「それはばくちだよ」というものであった。麻生氏は、驚いて言った。「それでは 選挙に踏み切るのは、民主党と政権を争うというより、内なる抵抗勢力を一掃するためのものですか」。 小泉首相は「うん」といった・・・ もはや明らかであろう。 今度の選挙は、与党にとっても野党にとっても、4年前の小泉郵政改革選挙は正しかったのか、それとも あの選挙は国民を愚弄した小泉首相の自己顕示の選挙に過ぎなかったのか、それを問う選挙なのである。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年8月9日発行 3008号

新しいコメントを追加