■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年7月4日発行 第244号 □■ ──────────────────────────────── ■ 村田元外務次官の核密約告白を私は手放しで評価しない ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 村田元次官による核密約告白は、確かに衝撃的である。 これまでにも、米国政府高官の発言や、米国で秘密解除された数々の公文書 が核密約の存在を証明してくれていた。 それを決定的に裏付けたのが今回の村田元次官の告白である。 外務官僚の最高責任者の告白である。しかもその密約は口頭了解を一枚の手 書きにして歴代の事務次官に引き継がれてきた、という生々しい言葉で語られ ている。 それでも政府・外務省はなおその存在を否定している。 果たして政府・外務省はその嘘を認める時がくるのだろうか。 そのきっかけになるかもしれないこの村田発言は、本来ならば勇気ある内部 告発として高く評価されなければならないはずだ。 しかし、私はこの村田氏の発言を素直に評価することができない。 なぜか。それは、核密約についての考え方が、私と村田氏の間で根本的に違 うからだ。 私を含め多くの平和主義者は、日本こそ非核政策を率先して推し進め、世界 に核廃絶を訴えるべきと考える。 だからこそ、政府・外務省が国民をあざむいて米国の核持込を密約した不誠 実さを厳しく非難する。 そして政府・外務省に、その過ちを認めさせ、謝罪させた上で、あらためて 非核三原則を遵守するように求める。 米国との交渉を国民の目の前で行い、核廃絶を願う日本国民の強い意思を米 国に理解させる外交努力を求める。 しかし、村田氏の考えはまるで違う。 そもそも彼は改憲論者である。核の抑止力を信奉する一人である。日本が核 武装できない以上、米国の核の傘に入ることによって日本の安全保障を確保す るほかはないと考える一人である。 だからこそ「核の持ち込みの密約のようにくだらない事で大問題になるお国 柄」(6月30日日経新聞)の日本をあざけり、「非核三原則なんてものを佐 藤内閣の時に出した・・・こと自体が私に言わせればナンセンス」(6月30 日毎日)、と言いのけている。 いっそ核密約を早く認め、堂々と日米同盟を重視した安全保障政策が論じら れるような日本にしなければならない、といわんばかりだ。 6月30日の日経新聞のインタビューの中で、外交機密費のスキャンダルを 質問されたのに対し、「デリケートなのでコメントしない」と答えていること なども、彼が決して国民の立場に立っていない事を物語っている。外務省の隠 し事のすべてを国民のために告白するような態度ではない。 その村田元次官の思惑に呼応するかのように、7月1日の読売新聞の社説は、 北朝鮮の核とミサイルの脅威が深刻化し、中国の軍事増強が急速に進む中で、 米国の「核の傘」のよる抑止力を高めなければならない、タブーにとらわれな い核論議が必要だ、などと書いている。 おりから、岡田民主党幹事長は、民主党が政権を取った時は日米密約を公表 すると発言している。 ひょっとしてその時外務省は、一転して密約を認めるのではないか。 そして自民党と同じく日米同盟を重視する民主党の下で、非核三原則を公然 と変更してくるのではないか。 いかにも外務官僚が考えそうな事である。私にはそれが見える。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年7月4日発行 244号

新しいコメントを追加