■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年6月24日発行 第233号 □■ ──────────────────────────────── ■ 航空自衛隊のパイロットが辞めていく理由 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6月23日の東京新聞に極めて興味深いスクープ記事があった。ここ 二、三年の間に、航空自衛隊パイロットの退官者が急増していると言うのだ。 すなわちこれまでは多くて数名だった退官者が、06年から08年までの 三年連続で、それまでの4倍にあたる20名に急増したという。 航空自衛隊のパイロット、特に戦闘機パイロットは花形ポストである。あの 田母神元航空幕僚長も憧れたポストだ。憧れたけれどついになれなかった ポストである。 それなのに何故退官者が急増しているのか。 東京新聞は、退官者が急増した時期は、イラクの首都バクダッドへの空輸が 実施された時期と重なるとしている。 これに対して防衛省は「イラク空輸と退官者増の因果関係は不明」としている。 不明では済まされない問題だ。パイロットの育成には二年の歳月と約5億円の 費用がかかるという。これは税金から支払われている。 かくも多額の税金を使ってパイロットにさせてもらい、その後は給与の高い 民間航空のパイロットに転身する、そんな事が万が一にも許されているのなら、 国民はたまったものではない。 防衛省が東京新聞の取材に答えている退官理由は、「家業を継ぐ」、「一身上 の理由」、「自信がなくなった」などというものだ。 いずれも身勝手な理由だ。そんな理由で簡単に退職させていいのか。 東京新聞が書いている理由の一つに、出世ポストでなくなったというのがある。 すなわち全国に7箇所ある航空団の司令やその上部の航空方面隊司令は、かつて は戦闘機パイロットの指定席だったが、最近は他の職種からの就任が増えている という。米国など他国の空軍が操縦士を優遇しているのと比較して不満だという。 自衛官もまた官僚だ。人事がすべてだ。この理由はうなずける。しかし国を守る 自衛官が、もしこう意識をもっているとしたら、驚くほかはに。 さてここまでは前置きである。私がこのメールマガジンで指摘したいのは、 東京新聞の次のくだりである。 ・・・日本に接近する航空機への緊急発進は、冷戦期のピーク時には一千回 近くあった。しかし、ここ数年は200回程度、「任務は待機」に変わった。 退官者の中には「やりがいがない」と言い残した操縦士もいるという・・・ (戦闘機操縦士から輸送機操縦士へさせられる者も多いが)名古屋高裁が 「戦闘地域」と(違憲)認定したバクダッドへの空輸は命がけの任務で、積荷の 八割以上は米兵だった・・・ この記事が端的に教えている事は次の二点である。 つまり、ソ連を仮想敵国とする冷戦が終わり、日本が想定する本来の戦争が 遠のいて久しい。自衛隊は災害救援や国際協力には忙しくなったけれど、本来の 国防任務は少なくなった、花形の異戦闘機パイロットは暇になったのだ。 そのかわりに自衛隊の仕事が米国の戦争のための下請けになってしまった。 戦闘機パイロットは輸送機パイロットに成り下がった。人道支援などと嘘を つかされ、違憲を誤魔化す毎日だ。しかし危険は高まる。 まともなパイロットならやる気がなくなるのは当たり前ではないか。 もしこれが退官の最大の理由であるならがどうだろう。 政治家は国会でこの問題を追及すべきだ。質問主意書を提出すべきだ。防衛省 は本当の理由を調査して国民に真実を明らかにすべきである。 ──────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年6月24日発行 第233号

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