■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年6月18日発行 第227号 □■ ──────────────────────────────── ■ やがて火をふくアスベスト問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 読者から寄せられる声の中に、「過去のメルマガを読み返してみて、そこ に書かれているほとんどがことごとく当たっている、その問題が表面化して いる」、というのがあった。 これほど嬉しい声はない。最強の励ましの声である。 私の書くものがすべて正しいとうぬぼれるつもりはない。自らの意見に賛同 して欲しいと思って書いているわけではない。 報道から読み取れる真実と、それを隠そうとする欺瞞を見抜いて見せる、その 気迫を唯一のたのみとして毎日報道を読み解いているだけだ。 これから書くアスベスト問題もその一つである。 私がアスベスト問題に関心を持ったのは、2005年に世の中を揺さぶった あの耐震強度偽装事件の関係者が私に語った次の言葉がきっかけであった。 「当時の国交省の最大の関心事は、アスベストが使用されている建造物から 如何にしてアスベストを安全に除去するかという問題であった。それが、 突如として暴露された耐震強度偽装問題の対応で、それどころではなくなり、 アスベスト問題が置き去りにされてしまった」 読者におかれては振り返っていただきたい。耐震強度偽装問題は、当初政府 は耐震構造に疑問のあるマンションを強制的に壊して対応しようとした。 しかし、その後耐震偽装の疑惑がある建物のあまりの多さと、住民らの経済的 負担の大きさから、突如として耐震補強の改修工事で済ますことでうやむやに されてしまった。 以来国が予算を講じ、学校や公共建築物の改修がどんどん進められている。 元官僚である私の直感では、この改修工事にかこつけてアスベストの除去作業 が国民の知らないところで猛スピードで行なわれているのではないかと思う。 その関連で私は最近の二つの新聞記事に注目した。 一つは6月16日に文部科学省が発表した調査報告である。それを17日の 各紙が一斉に報道した。 すなわち各自治体で公立小中学校の補強工事は着実に進められているが、 依然として震度6強の地震では倒壊する危険のある建物は残っており、改修 工事は急ピッチで進められる必要がある、というものである。 もう一つは、きょう6月18日の朝日、毎日が報じている環境省の発表で ある。すなわちアスベスト(石綿)関連の職歴のない人たちの中にも、 アスベスト被害認定者が多数見つかったという。 つまりアスベスト被害者は、工事作業者だけでなく、空中に飛沫する粉末を 吸引する住民にも被害が及ぶ危険性があるということだ。 この二つの記事は何を意味するのか。それは全国に何百万も存在すると言わ れている過去にアスベストを使って建てられた建物の改築、改修は、行政が 適切な対策を講じ、それを国民に情報公開しながら慎重に対応していかなければ ならない一大問題であるということだ。 しかし、このアスベストの適切な除去対策については、関係省庁が国交省、 環境省、経済産業省、文科省など多岐にわたっており、責任の押付け合いなどで いまだ統一的な対策が講じられていない。 より深刻な問題は、このアスベスト除去問題の深刻性がまったく報道されず、 国民のほとんどが気づいていないことだ。自分とは無関係の問題だと思っている ことだ。 それをいい事に、行政が闇のままに、あるいは一方的に、このアスベスト問題 を処理しようとするのなら、後年になって必ず国民の中から被害者が出てくる、 国民の反発が起きる。 そう思っていたら、驚愕的な情報が私のもとに寄せられた。来年(2010年) 4月1日から固定資産の評価にアスベスト含有を債務として計上することが 義務付けられるというのだ。 そしてその不動産の所有者はそれを自己負担で除去する事を義務づけられる というのだ。 これらは既に立法化されているという。それにもかかわらずまったく報道されて いない。 4月から導入されるこの新しい政策は、行政が自らの責任を国民に転嫁するに 等しい政策だ。不動産を持つ国民は評価資産が大きく毀損される事になる。 膨大なアスベスト除去経費を負担させられる事になる。またもや官製不況が 起きる。 来年4月から世の中は騒然とする事になるだろう。そうならない前に メディアはアスベスト除去問題を調査報道し、国民にかわって行政の無責任さを 追及すべきである。 ──────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年6月18日発行 第227号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。

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