■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年5月30日発行 第203号 □■ ────────────────────────────────── ■ 麻生政権の断末魔(北朝鮮外交の敗北) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 北朝鮮の核実験であれほど騒いだメディアが、ここに来て急に静かになった。 無理もない。書くことがないのだ。 今すぐにも成立するかのように報道されていた北朝鮮に対する安保理制裁決議 の動きが、一転して慎重になった。制裁の内容とその徹底化で揉め出したのだ。 5月26日のメルマガ第199号で書いたとおりの展開になった。 今回ばかりは北朝鮮に対して徹底的に強硬姿勢を貫くという。いいだろう。 しかし強硬な安保理制裁決議をつくろうとすることには、実は重大な矛盾がある。 強硬な内容でなければ意味がない。今までの繰り返しに終わる。しかし本当に 北朝鮮を締め上げようとすれば北朝鮮の暴発を覚悟しなければならない。 外務省幹部は「北朝鮮が本当に困る事を盛り込みたい」(5月29日朝日新聞) と言っているらしい。本気でそう思っているのか。彼らに戦争の覚悟があるのか。 北朝鮮のこけおどしだと高をくくるのは簡単だ。しかし暴発しない保証はない。 そうなった時の責任を政府・外務省はとるというのか。 しかも制裁内容案は米国の言いなりだ。船舶臨検を義務づけると言う。金融制裁 をさらに徹底するという。 いずれも北朝鮮からテロ組織への核兵器流出を防ぐ為である。米国にとっての 北朝鮮の核は、所詮それだけの話だ。 しかし日本の場合は違う。北朝鮮の核の脅威に直接さらされている。北朝鮮の 核の脅威を取り除く事が日本にとっての最重要課題だ。制裁強化では決して それはできない。 米国やロシアや中国は、北朝鮮が暴発しても生き残れる国である。そのシナリオ まで考えているに違いない。彼らは国民の多少の犠牲など国家目的のためには いとわない国なのだ。 しかし日本は違う。日本の場合はあまりにも犠牲が大きすぎる。全体主義の戦前 ならいざ知らず、民主国家のいまの日本でそれができるというのか。 日本にとっての選択肢は、米国が北朝鮮と交渉し、北朝鮮の体制保証と引き換え に核凍結を認めさせる、それによって北朝鮮の脅威を取り除く、それしかない。 そして米朝や日朝の国交正常化を実現し、話し合いで懸案を解決していく、 これしかない。それをオバマ政権に求めるのが日本外交なのだ。 オバマ政権がその方向で米国内のコンセンサスを得られるように働きかける、 それが今の日本の最善の外交なのだ。オバマ政権を「テロとの戦い」を優先させる 方向に走らせてはいけない。 それは譲歩でも弱腰でもなんでもない。冷静な外交努力なのである。日本の 対北朝鮮外交は対米外交なのである。 そして米国の北朝鮮外交の失敗は、対米従属に終始する日本外交の失敗でもある。 米国に対北朝鮮外交を失敗させてはならない。 その事に気づくことなく、不毛な安保理制裁決議の責任を押し付けられて喜んで いる日本外交は、愚の骨頂なのだ。 なぜ政治家、外務官僚はその事に気づかないのか。なぜメディアはそういう視点 を持てないのか。国民は事態の深刻さに気づかないのか。 「どうしてだと思いますか?私に答えられる限界を超えています」 これは北朝鮮が今回の核実験を行なった25日午後、記者団に向かって首相官邸 で麻生首相が述べたと報道されたせりふだ。 歴史に残る迷セリフである。それが「外交の麻生」なのである。これ以上麻生 首相に日本の外交を任せてはいけない。 麻生政権交代の必然性は北朝鮮外交一つをとってみてももはや自明である。 ──────────────────────────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年5月30日発行 第203号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信して いただければ、著者まで届きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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