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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」 第198号 豚インフルエンザとBSE検査緩和報道の根底にあるもの
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□■□■  【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■  天木直人のメールマガジン 2009年5月25日発行 第198号 □■   ────────────────────────────────── ■                 豚インフルエンザ騒動とBSE検査緩和報道の根底にあるもの  今回の豚インフルエンザ騒動に象徴される一つの大きな問題は、科学的根拠が 十分に確認されていない事柄について、どこまで厳しく対応策を講じるか、その 政治的、政策的判断の説明責任が国民に果たされているか、ということである。  実はこの問題は、今回の豚インフルエンザ問題に限らず、多くの政策決定に 共通する問題である。  この事については二つのケースを分けて考える必要がある。  一つは、科学的根拠が明確になっている場合の政策についてである。その 場合は、政策決定は、当然その科学的根拠を重視して、中立的、科学的に決め られなければならない。  もっともこの場合でも、政治的配慮によって政策が歪められることはある だろうが、政治的配慮によって歪められた政策の不都合が明らかになれば大きな 政治問題となる。だからそう簡単に政治的配慮を優先するわけには行かない。  ところが、いまだ科学的根拠が明確に確認されていない場合や、国民が十分に 理解できない専門的な事柄の場合は、その政策決定の過程は、科学的根拠が明確 である場合にくらべてはるかに不透明であり、その故に行政の責任が曖昧にされた まま放置されるおそれがある。  5月25日の東京新聞は、「政府がBSE(牛海綿状脳症)の検査基準を緩和 検討」という記事を大きく掲載していた。  その記事によれば、24日からパリで開かれる国際獣疫事務局総会が、日本の 牛肉生産の安全性を評価し、日本を「BSEのリスクを管理している国」に認定 する見通しになったので、それを受けて政府もこれまでの厳しい検査基準の緩和を 検討することにした、というものである。  しかし、一見もっともらしいこの記事では、その動きの裏にある真実は何も わからない。  実はこのBSEの検査対象緩和については、すでに24日の読売新聞が一面で 大きくスクープしていた。  そして、その読売新聞が書いていた事は東京新聞にくらべて一歩踏み込んだ ものであった。  すなわち読売新聞は、これまで日本政府が採用していた全頭検査が科学的根拠 に乏しく、しかも「月齢20ヶ月以上」という検査基準が、国際獣疫事務局が 検査を求めている「36ヶ月以上」に比べて厳しすぎた、というものである。  だから、今度の国際獣疫事務局の認定をきっかけに、これまでの厳しすぎた 検査基準を緩和しようとする思惑が政府にはある、というものである。  この読売新聞のスクープ記事のほうがはるかに鋭いところをついている。  かつてBSEが騒がれた時、米国から輸入する肉牛の検査基準が大きな政治 問題となったことがあった。  対米従属の日本外交は、国民の安全を犠牲にしてまで米国の危険な牛肉を輸入 するのか、という世論の批判が巻き起こった。  さすがの小泉政権も米国に対し厳しい検査を要求せざるを得ず、その政策は 今日まで基本的に維持されている。  確かに、その後も、米国肉牛の安全性管理の杜撰さが報じられ、また、米国の 日本に対する執拗な輸入拡大要求も、国民に反発心を抱かせるものがある。  だから日本政府はこのBSE問題に関しては、今後とも米国に対しては毅然と した態度を貫いてもらいたい、と、国民は考えるに違いない。  しかし、もし、日本のこれまでの検査基準が、科学的根拠についての明確な 合意のないままに、国際基準から見て必要以上に厳しいものであったとしたら どうか。  日本に対する米国の政治的圧力はあるにしても、実はそれ以上に日本の行政の 対応が不当に厳しいものであり、結果として日米関係に不必要な摩擦を引き起こ していたとしたらどうか。  その政策の誤り気づきながら、官僚が非を改めるきっかけをつかめずに不適切 な政策を続けざるを得なかったとしたらどうか。  そして今度の国際獣疫事務局会議の認定を奇禍として、国民への説明責任を 果たすことなく、なし崩し的に、わが国の肉牛検査政策を変更しようとしている としたら、どうか。  他紙に先駆けてこの事を指摘した読売新聞に対しては、今後ともわが国の BSE対策の不透明さを追及してもらいたい。       ─────────  天木直人のメールマガジン 2009年5月25日発行 第198号  発行者:天木直人  著者ブログ: http://www.amakiblog.com/  

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