□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年5月9日発行 第179号 □■ ────────────────────────────────── 政権交代を否定する朝日新聞 私がメルマガで朝日新聞の変調を書いた時、すかさず多くの共感のメール が寄せられた。 しかもその共感のメールは、いずれも長年朝日を愛読してきたという朝日 ファンからのものだった。 いかに朝日が読者を裏切りつつあるかということだ。 そして、5月8日の朝日新聞は、ついにここまできたか、と言うものであった。 「あえて問う 政権交代は善なのか」という見出しの「オピニオン 政治衆論」という特集記事が、一頁全面を使って組まれていた。 この特集記事は、今井貴子(成蹊大法学部助教授)、御厨貴(東大先端科学 技術研究センター教授)、牧原出(東北大大学院法学研究科教授)、そして 司会役の薬師寺克行(朝日新聞論説委員)の4氏による対談形式をとった論評だ。 その論調は、一見まともな体裁を取っている。すなわち、政権交代の長所は 政権の刷新性であり、日本政治に競争原理が導入される点であると言い、短所は 政策の継続性が失われる事にともなう混乱だ、競争原理が行き過ぎると政局 中心主義に陥る(薬師寺)、などとバランスをとった言い方をする。 1997年、ブレア氏率いるイギリス労働党が18年ぶりに保守党から政権を 奪還した例を引き合いに出し、ブレアの労働党が勝利したのは、新たな政権が、 新しい政治をもたらす事を国民に印象づけたからだ、だから民主党も、政権を 取ろうとするのなら、有権者に政策構想を提示し、有権者の信頼を得る必要が ある(今井貴子)、などと民主党にエールを送る。 しかし紙面を注意して読むと随所に民主党批判や政権交代への否定的物言いが 表出している。まるで読者に対するサブリミナル効果を狙っているかのようだ。 「民主党には政権を取るための準備が足りない。とすれば、現在の日本は 政権交代をしなければいけないほどの危機にあるのか、いま一度考える必要が でてくる」(牧原出)。 「日本のメディアはともすれば、政権交代がア・プリオリに『善』である としてきたが、なぜ善なのか」(薬師寺克行)。 「小沢氏の発想は『まずは政権を取れればいい。自分のその後の行動を縛る 公約などいらない』というものだ。彼の限界は自民党の旧来の擬似政権交代 システムを外部化し、自民党と民主党との間で権力闘争を展開すれば事足れり、 としている所にある」(御厨貴)、 などなど。 極めつけは牧原出の次の言葉だ。 「自民党が自己改革するなら、政権交代は必要ないという議論が強まり かねない」 実はこの薬師寺克行という論説委員こそ、朝日を変調させた記者の一人である と、私はかねてから思ってきた。 官僚との関係を重視し、いつの間にか官僚の仲間になって、政府を代弁する かのごとき論説を書き、話す。 この企画をつくった薬師寺は、同時にまた対談のプレーヤーの一人であり、 かつ編集者だ。いわばこの記事のプレーイングマネージャーである。 彼がつけたに違いない見出しの「あえて問う 政権交代は善なのか」という タイトルこそ、小沢民主党による政権交代に朝日は断固反対する、という 意思表明である。 「ついに朝日新聞はここまで来てしまった」、という思いがして淋しい。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年5月9日発行 第179号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。

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