□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月30日発行 第167号 □■ ────────────────────────────────── ■ 本物の「外交の麻生」になってもらいたい 4月30日の各紙が報じる麻生首相の訪中について、果たしてどのような 意味を見出せばいいのか。 「一ヶ月に三回の首脳会談は国交正常化以降、例がない」(朝日、読売) とか、「温家宝首相と2時間20分(の長時間)にわたって会談した」(毎日) とか、「北朝鮮に対し6カ国協議への早期復帰を促すことで一致した」(東京) とか、「豚インフルエンザ拡大阻止で連携」(東京)などと、精一杯の成果を 強調してみせる。 しかし、その一方で、いずれの新聞もはるかに深刻な問題を書いている。 書かざるを得ないのだ。 東シナ海ガス田開発、中国ギョーザ問題などの重要懸案はまたもや先送り された。 靖国問題に真榊(まさかき)を奉納した麻生首相は、「適切に処理して欲しい」 と温家宝首相から釘を刺された。麻生首相は「(村山談話を踏襲する)日本の 立場に変更はない」と釈明するしかなかった。 麻生首相の訪中のタイミングを狙うかのように、北朝鮮が核実験の警告声明を 出した。これに対する麻生首相や温家宝首相の発言については一切の報道はない。 極めつけは、麻生首相にとって初の中国公式訪問であるというのに、胡錦涛 主席の晩餐会もなければ共同記者会見もなかった、という日経新聞の報道だ。 そういえばオバマ大統領と初会談するために訪米した時もそうだった。 共同記者会見はなく、昼食会すらなかった。 日本外交の最重要相手国である米国と中国に対して、本物の首脳外交が できていない。 米国や中国にとって、「日米同盟は最重要」とか、「戦略的互恵関係」とかの 外交辞令を繰り返す事はお安い御用だ。その甘言と引き換えに、日本から 取るものを取ればいい。 それならばロシアとはどうか。連休明けの5月にプーチン首相が訪日する。 北方領土問題について国内では4島一括返還か、2島あるいは3・5島返還か、 などと一人相撲で内部分裂している。 しかし、そんなことよりも、もっと重要な国際政治上の事実がある。 肝心のロシアが北方領土などビタ一文返還する気はないという事だ。 北方領土問題の未解決を望んでいるのは日・ロの離反を図る米国である、 という歴史的事実があるということだ。 ついでに言えば麻生首相と欧州首脳との関係はゼロに等しい。仏サルコジ 大統領や独メルケル首相との関係はむしろ敵対的だ。 私はいたずらに麻生首相を批判しているのではない。事実を述べている。 麻生首相には頑張ってもらいたい。外務官僚におだて上げられて、「外交の 麻生」と持ち上げられるだけではいけない。 自ら本物の首脳外交を行う事によって、それを国民に示すことだ。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年4月30日発行 第167号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。

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