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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」 第165号 今の外務官僚では正しい外交はできない
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□■□■  【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■  天木直人のメールマガジン 2009年4月28日発行 第165号 □■   ────────────────────────────────── ■                   今の外務官僚では正しい外交はできない  きょう4月28日の新聞各紙はいっせいに中曽根外務大臣の核軍縮演説を 掲載している。  都内で開かれた日本軍縮学界(会長・黒沢満大阪女学院大教授)の設立総会 記念講演であるという。  あたらしく設立されたこの日本軍縮学界なるものがどのような性格のもの かは知らない。  しかし、報じられるような中曽根外相演説をありがたく拝聴するようでは、 大した学会でないに違いない。  いうまでもなく中曽根演説の起案者は外務官僚と、その委託を受けた スピーチライターである。  ただでさえ官僚の操り人形と揶揄されている中曽根外相が、自分の定見を 自分の声で語れるはずはない。  その事は、丹羽敦子記者の手になる4月28日の朝日新聞の記事で見事に 証明されている。中曽根演説の意味を外務省幹部がことごとく丹羽記者に解説 してやっているのだ。  解説されるまでもない。この演説は、外務官僚が独占してきた日本の外交 の特徴が、見事にあらわれている。  それは何か。一言でいえば、「国益達成の為の本気の外交ではなく、 外交努力に励んでいます、という姿勢を世論に示す内政、つまりアリバイ づくりの外交」、という事である。  核軍縮を訴えるのはいい。そしてそれを実現する事が困難なことも理解できる。  しかし、日本外交が本当に核廃絶を実現しようとするのなら、中曽根演説 よりも先にすることがある。  それは何か。核廃絶に向けての対米外交だ。  演説で公然と中国やインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮に核廃絶を 訴えるのではなく、オバマ政権と水面下で核軍縮について協議を進めることだ。  オバマ大統領の包括核軍縮提案の本音を聞きだし、もしオバマ大統領が 本気で核軍縮を進める気があるのなら、日本として全面的にそれを支援する 意思を伝え、日本のできる事は何でもする、と伝えることだ。  オバマ大統領の包括核軍縮提案については国内にも国外にも、それに懸念を 抱く声があると報じられている。  世界から核を廃絶することはオバマ大統領でも容易ではない。命がけだ。  なによりも、オバマ大統領自身がどこまで核廃絶に本気であるかさえ 分からない。  しかし、オバマ大統領の米国がその気にならなければ核軍縮などできるわけ がない。オバマ大統領の米国がその気になれば、不可能と思える核廃絶の 可能性がでてくる。  この認識、心構えこそ、核廃絶に向けて日本外交が持つべきものである。  繰り返し強調したい。唯一の被爆国である日本の外交が、言葉だけではなく、 本気で世界から核廃絶を実現しようと考えるのであれば、オバマ大統領を説得し、 支援するほかにない。  さらに言えば、オバマ大統領の提案が米国の総意として実現するためにも、 「米国が率先して核廃絶を行なわなければならない」、と呼びかけた キッシンジャー、シュルツ、ペリー、ナンたち、米国の安保・外交政策の 重鎮たちを動かす事だ。  それは容易な外交ではない。うまく行かないかもしれない。しかしそれこそが 外交である。こころときめく外交であるはずだ。いまが核廃絶の歴史的チャンス なのである。  しかし外務官僚のやっている事はまるで方向違いだ。「わが国とって日米安保 体制の下における核抑止が重要であることは言うまでもない」などと 中曽根外相に語らせている。  その一方で中国の核を公開の場で強く批判してみせる。それは逆効果だ。 中国でなくとも、いかなる核保有国もそんな批判をまともに聞くはずはない。  朝日新聞の解説記事が外務官僚の浅はかさを見事に書いていた。  「(中国が進める核軍備の近代化を異例の強い表現で批判した背景には)、 米ロ両国による核弾頭削減に向けた気運が高まる中、中国の核の脅威が 相対的に高まることへの安全保障上の強い懸念がある・・・」  支離滅裂である。一方で日中互恵戦略対話の推進を掲げながら、その一方で 中国を敵視し、中国をいたずらに刺激する。  これは対中弱腰外交というタカ派の政治家や世論の批判に迎合しているのだ。  これ以上繰り返す必要はないだろう。今の外務官僚のやっている外交は本物の 外交ではない。  何が国益かを明確に打ち立て、その国益実現に向かって困難な外交を行う という姿勢も、認識も、覚悟もない。  あるのは、政治家と世論の双方から評価されたいというパフォーマンス外交、 であり、何かいい事をやっているというアリバイづくり外交である。  外務官僚の保身外交の一言につきる。   ─────────  天木直人のメールマガジン 2009年4月28日発行 第165号  発行者:天木直人  著者ブログ: http://www.amakiblog.com/  読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信 していただければ、著者まで届きます。

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