■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月2日発行 第125号 □■ ────────────────────────────────── ■ ドル支配体制に挑戦し始めた中国 3月28日の朝日新聞は、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が、 「基軸通貨として米ドルには限界がある」という趣旨の論文を発表した、と 書いていた。 朝日新聞はまた4月1日の夕刊で、中国がドル基軸通貨体制からから距離 を置き始め、人民元によるアジア共通通貨圏構想を本格的に検討し始めた、 と書いていた。 おりからG-20首脳会議がロンドンで始まる。 サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機が騒がれた前、あらゆる 経済専門家が米国のドル支配は終わった、パラダイムシフトなくして世界経済 危機は乗り切れない、と叫んでいた。 それから半年、世界経済は更に深刻さを増している。それにもかかわらず 世界の首脳は、自国の利害を優先し危機打開の国際合意を見出せないでいる。 米国はルールを変えようとせずにドル覇権にしがみついているかのようだ。 対米従属しか策のない日本は、世銀・IMF体制支援を繰り返している。 そんな中での中国政府のドル支配体制に対する挑戦の動きである。 しかし、私が注目したのは、中国要人のドル離れの発言だけではない。その 発言が、中国国民の高まる不満に押され、それを静めるために行われ事を知った からだ。 発売中のニューズウィーク日本語版4月8日は、「アメリカに甘い」自国政府 に反発、と言う見出しの記事の中で、次のように書いていた。 「アメリカ発の世界不況のなか、中国では対米批判が噴出している。それを もっとも気にしているのは米政府ではなく中国の指導部かも知れない。 危機を引き起こした張本人であるアメリカを、なぜわが国政府は支持し続ける のか・・・不況にあえぐ中国国民の間でそんな感情が高まっている・・・ こうした批判を静めるために、中国政府はアメリカに対して厳しい態度を取り 始めた・・・周総裁は3月23日に公開した論文の中で、ドルに代わる準備通貨 をIMFが創設すべきだと主張した。これに先立つ3月13日には温首相が、 『(現在の金融危機における米国債保有を)心配している』と発言した・・・ それでも中国強硬派の不満はおさまらない・・・IMFの準備通貨をドルから 変更するだけでは不十分だ、IMF自体がアメリカの管理下にあるではないか、 中国政府は米国債に投資するのをやめて、その資金を国内のインフラ整備や 国防強化、社会福祉の充実にまわすべきだ、と主張する・・・」 正論だ。「アメリカに甘い」と自国政府に堂々と反発する国民と、その声を 背景に対米外交を進める中国政府。もしそれが現実のものであれば、これこそが 自主、自立した外交ではないのか。米国の単独主義外交に唯一抗することの できる国民外交である。 思えば1997年のアジア通貨危機の時、当時の宮沢首相、榊原財務官は 円アジア通貨圏構想を未熟なまま提案し、米国の逆鱗に触れて潰された。 それから10年余がたって、中国は国民外交に裏打ちされた元アジア通貨圏 構想に向かって動き出したのだ。経済危機に襲われ弱体化した米国経済は、 「ドルは現在極めて強い。米国が世界最強の経済で、政治システムも最も安定 していると投資家が考えているからだ」と強がりを見せる(3月24日のオバマ 大統領の記者会見)一方で、生き残りをかけて北米通貨圏構想(アメロ)を 密かに進めているという噂はたえない。 今まさに壮大な金融戦争が繰り広げられているのではないか。 何事につけて中国を批判するわが国の強硬派は、中国の強硬派を少しは 見習ったらどうか。叩く相手を間違えることなく、日本政府に自主、自立した 対米経済外交を少しは要求したらどうか。 日本のメディアや経済専門家は、いたずらにG20の不毛を嘆くだけではなく、 本気になって米国から自立した経済戦略を語るべきだ。 そのことを中国のドル支配体挑戦の動きが教えてくれている。 日本政府のも国民のために少しはまじめに対米自立経済政策を考えたら どうかと背中を押している。 ──────────────────────────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年4月1日発行 第124号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信して いただければ、著者まで届きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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