天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月29日発行 第0121号 オバマのアフガン新戦略が日本に送るメッセージ 3月27日、オバマ大統領が対アフガン新戦略を発表した。その内容を このメルマガで詳しく分析・評価する余裕はない。今後この新戦略が具体化 されていく過程で、その実態が明らかになり、それに伴って様々な評価が なされていくに違いない。 しかしこれだけは言っておきたい。「この戦いは武器だけで勝つ事はできない」 と強調して、外交官や経済支援に当たる文民要員も増強すると明らかにした オバマ大統領の政策は間違いである。 「この戦いは武器だけでは勝てない」のではない。「この戦いは武器では 勝てない」のだ。米国はまず武力行使の停止を宣言し、平和を実現した後で 経済支援や文民協力を行なうべきなのだ。その協力を世界に求めるべきなのだ。 オバマ新戦略を報じる29日の各紙の論調を見ていると、先行きは前途多難 であるが日本は米国に協力してアフガン安定を目指すほかはない、と言うもの ばかりだ。そして米国が同盟国に非軍事面で一層の貢献を求める姿勢が明らか になった事を歓迎する。 しかしここに大きな落とし穴がある。3月23日のメルマガ第0113号で 紹介した「日米同盟の正体」(講談社現代新書)の中で、著者の孫崎享氏は つぎのように書いている。最近になって俄かに急浮上してきた自衛隊の国際貢献 の背景には米国の長年の戦略があると言うのだ。 「・・・(1990年代初期、日米安全保障面の責任者である国防省日本部長 の任にあった)ポール・ジアラは論文『新しい日米同盟の処方箋』(1999年) で次の説明を行なった。 『・・・PKOや人道援助、災害援助などの分野は政治的に受け入れやすい こともあり、共同で行なうことは同盟の結束を促す上でよい機会である。人道 支援などで作戦を日常的に行なうことは、はるかに緊張度の高い有事への作戦の 準備としても絶好の訓練になる。このような活動で求めるものは有事と共通である・・・』 米国は冷戦終結以降、日本に安全保障面での役割分担を拡大させることを主たる 目標にした。日本に危険の負担を引き受けてもらいたいという意向が強く働き 始めた。危険の負担とは・・・海外での自衛隊の活動で死者を覚悟してくれ ということである・・・(そのためには)まず日本に国際舞台でPKOや人道 支援、災害援助をさせ、これを将来日本が戦闘に参加する準備とするという (考えである)・・・ 今日米国は、イラク戦争への協力、アフガニスタンへの自衛隊派遣の模索に 見られるように日本に軍事力を高めさせ、これを積極的に米国戦略の中で活用 していくという姿勢が明確である。そしてこの傾向は間違いなくオバマ政権に 継承される・・・」 このような米国の戦略を知ってか知らずか、防衛省は3月25日、年次報告書 となる「東アジア戦略概観2009年」を発表した。そこにはアフガニスタン 問題で自衛隊と文民支援を組み合わせた「日本版地方復興チーム」構想が提起 されている(3月26日産経新聞)。

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