天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月24日発行 第0114号 北朝鮮ミサイル発射問題に見る日本外交の無策 小沢問題で当分日本のメディアは埋め尽くされることだろう。しかしその 一方ではるかに重要な事が進んでいる。 私は3月14日のメルマガで北朝鮮ミサイル発射問題の深刻さについて書いた。 日本が成すべき事は米国、中国と協議して、何としてでも北朝鮮に発射を思い とどまらせるべきだ、と書いた。日本の外交力がいまこそ問われている、 と書いた。 それから10日あまり、どうやら日本はこの最重要外交ですっかり米中に 外されてしまったようだ。 北朝鮮に発射を思いとどまらすことができるかどうかは、勿論わからない。 しかし少なくとも首脳レベルでの必死の外交交渉が行われなければならない。 その事を一番必要としているのは日本だ。北朝鮮のミサイル発射で危険にさら されるのは日本だけだ。その日本がなす術がない。メディアもその事をまったく 報道しない。 報道される事といえば、北ミサイル破壊命令を閣議を経ずして発令するとか (3月24日東京)、秋田、岩手に迎撃弾を配置する(24日朝日)とか、 制裁措置を強化する国連決議をめざして奔走する、などという強硬姿勢ばかりだ。 ピント外れもはなはだしい。 考えてもみるがいい。ミサイルが一端発射されてしまったらどうするつもりだ。 迎撃ミサイルを撃たなければ弱腰と批判される。撃って当たれば戦争だ。撃って 外れれば迎撃ミサイルが無用であるとばれる。ミサイル発射後に制裁措置を強化 してみたところで後の祭りだ。 象徴的なのは3月末に予定されていた麻生首相訪中が中国側の都合で延期 されたことだ。報道によれば尖閣列島の領有問題で中国側の世論が敏感になって いる事だという。これを日本は黙って認めて引き下がっている。金融サミット の話があるだろう。ミサイル発射問題の話があるだろう。3月末の日中首脳会談 は決定的に重要なのだ。中国は日本との首脳会談など相手にしていないのだ。 尖閣列島問題は口実なのだ。 その一方で米中はオバマ・胡錦涛首脳会談を4月1日に行なうと発表している (3月24日毎日)。日本はと言えば斎木アジア大洋州局長レベルの会談でお茶 を濁している。「ミサイル発射が行なわれたら6カ国協議再開は困難になる」こと で日中一致した、などと発表して日本は喜んでいる。なにかしているという アリバイづくりだ。まったく役にたたない時間浪費だ。 日本最大の外交、防衛危機に際して、外交がまったく機能していない。それ どころか日米同盟が機能していない。米中両国の情報の埒外に置かれてしまって いる。その事に対して誰も問題にしない。メディアが指摘しない。これが今の 日本だ。

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