天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月22日発行 第0112号 よみがえる外交機密費流用事件 2月26日の週刊文春にジャーナリストの山口和夫氏が、01年前に世間を 揺るがした外交機密費流用事件を鮮やかによみがえらせてくれる記事を書いて いた。当時この事件に関与していたとみなされ、ほとぼりがさめるまで一時身を 隠していた外務省幹部たちが、最近の人事で続々と要職に復帰しつつある、 という記事である。 この事件で懲役7年半の実刑判決を受けた松尾克俊要人外国訪問支援室長 (当時)は、もちろんその事件の首謀者である。しかし外務省は彼一人に罪を かぶせて外務省組織の崩壊の危機を乗り切った。 その松尾克俊氏は、昨年末ひっそりと刑期満了を前に出所したらしいという。 その意味で、この週刊文春の記事は注目されるべき記事であった。だが メディアがこの記事をフォローするわけでもなく、やり過ごされた。 ところがこの記事を見落とさない人物がいた。さすがに外務省批判では右に 出る者がいない佐藤優氏である。 彼は発売中の週刊アサヒ芸能3月26日号「ニッポン有事!」のコラムのなか でこの週刊文春の記事を取り上げ、次のように書いている。 「外務省が腰を抜かすような恐ろしい情報がある。2月26日発売の週刊文春 の記事だ・・・松尾事件は外務省の組織犯罪であると筆者はにらんでいる・・・ 筆者が知る範囲でも松尾氏のお世話になった外務官僚は何人もいる・・・松尾事件 のとき警視庁捜査二課の責任者であった萩生田勝氏は以下の証言を残している、 『私は、松尾から外務省の上級幹部に必ず現金が行っていると睨んでいました』 (萩生田勝著 警視庁捜査二課 講談社 259頁)。筆者も萩生田氏の見立て は間違えていないと思う・・・」 私もそう確信している。松尾事件の深刻さは、それが単なる会計担当官の横領 事件ではないところにある。歴代の外務省事務次官以下本流を歩む幹部のすべてが 関与していた組織犯罪の疑いが強いところにある。 それにもかかわらず、というよりも、だからこそ、外務省が組織をあげてこれを 隠蔽し、一切が不明のままで強引に終わらせられた。その渦中の人物の一人は 天皇陛下側近の宮内庁侍従長の職に天下っているという驚くべき現実まで放置 されている。 佐藤優氏はその記事を次のような言葉で締めくくっている。 「(松尾氏は)出所後フィリピンに行ったとの噂があるが、もしそれが 本当ならば、パスポートの発給手続きのために松尾氏は外務省と接触があった はずだ。その時外務省は松尾氏にどのようなメッセージを伝えたのであろうか? 実に興味深い。松尾氏に是非お願いしたい事がある。筆者と本誌で対談しよう ではないか。そして外務省の膿をすべて国民の前にさらそう。松尾氏の口から 伏魔殿外務省の真実が国民に伝えられることが重要だ」。 民主党が政権交代を果たした暁には、是非この外務省機密費問題の真実を 解明し、国民の前に明らかにしてもらいたい。それは外務省の為でもある。 正しく、力強い外交をするためにも、けじめをつけるべきだ。

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