天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月20日発行 第0111号 イラク開戦から6年、あの戦争は何だったのか 今から6年前の2003年3月20日、ブッシュの米国はイラク攻撃を始めた。 この国の首相は「ブッシュ大統領は正しい」と世界に公言し、米国のイラク戦争 に加担した。 それから6年たった09年3月20日の大手新聞のなかで、イラク開戦6年を 社説で取り上げたのは、わずかに東京新聞と毎日新聞だけであった。その中でも、 イラク戦争の総括が必要だと、次のように明確に書いたのは毎日新聞だけだった。 「・・・日本はこの戦争をいち早く支持した。イラク戦争とは何だったのか。 たとえ遅ればせでも、国家としての総括を怠ってはならない」 3月20日になったからといって、いまさらイラク開戦記念の社説を 掲げる必要はないだろう、という声が聞こえてきそうだ。その通りである。 おそらくメディアが3月20日にイラク戦争について書くのは今年が最後だろう。 それでいい。 しかし今年こそは「米国のイラク戦争はいったい何だったのか」、「それを 無条件で支持した小泉外交は正しかったのか」について、すべての新聞は みずからの考えを書くべきであった。総括、検証して、後世にその評価を残して おくべきだった。 今年はブッシュ大統領が去ってはじめて迎えるイラク開戦記念日である。 オバマ大統領が米兵のイラク撤退を宣言して迎えた初めてのイラク開戦記念日 である。 来年以降は、イラク戦争は完全に過去の出来事となる。イラクに対する世界の 関心は、イラク政治の安定と戦後復興に集中される事になる。だからこそ今年の イラク開戦記念日は、その総括を行なう最後のチャンスなのである。 米国のイラク攻撃が残したものは一体何だったというのか。おびただしい数の 犠牲者と、その後に残された悲しみ、憎しみでしかなかった。いい事は何ひとつ なかった。「イラクをサウディアラビアと並んで中東の米軍基地とする」という 米国の目論みさえ叶わなかった。 そんな米国の戦争に加担した日本外交は正しかったのか。誰が、何の目的の ために、どういう理由で、米国の戦争に加担する事を決めたのか。それらを 何一つ国民の前に提示する事なく、曖昧にしたままで過去の出来事に追いやって しまっていいのか。 「どこが戦闘地域か自分に聞かれてもわかる訳がない」と国会で言い放った 小泉首相や、自衛隊のイラク派遣は憲法9条違反だったという名古屋高裁判決を 前に、「そんなの関係ねえ」と言い放った自衛隊幹部の、そんな不真面目な物言い が放置されたままでいいのか。 そんな事で後世の世代に説明責任が果たせるのだろうか。 ごまかしの外交を引きずったままでは、正しく、強い外交ができるはずはない。 政権交代が起こったならば、新しい政権には是非ともイラク攻撃を支持した旧政権 の外交を総括してもらいたい。外交もまた心機一転して出直さなければならない 時が来ている。

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