天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月14日発行 第0102号 北朝鮮が暴いてくれた日本の安全保障政策の欺瞞 私は3月1日のメルマガ第0080号と3月11日のメルマガ第0099号 で北朝鮮のミサイル実験の深刻性について警鐘を鳴らした。なぜこれほど深刻な 問題に対してメディアも世論も騒がないのか、と書いた。それにもかかわらず 日本政府やメディアの反応は奇妙に静かだった。まるで逃げているかのように。 ところが北朝鮮が4月4日から8日までの間に人工衛星を運ぶロケットを 打ち上げる計画を国際海事機関(IMO)に通報した事が明らかになって、 にわかに騒ぎ出した。メディアで取り上げるようになった。取り上げざるを えなくなったのだ。 無理もない。それが日本海方面に向かって打ち上げられ、一段目が秋田県 西方約300キロの日本海に、そして2段目が日本列島を飛び越える軌道である ことが明らかになったからだ。 もし北朝鮮が核弾頭を保有し、それを搭載したミサイルを日本に向けて発射 すれば日本はどうするのか、それを問われているのと同じ事だからだ。 昨日からやたらに沸き起こったこの北朝鮮ミサイル発射問題をめぐる議論に ついて、私は細心の注意を払って注視してきた。そして、政治家、安全保障政策の 専門家、メディアの論調など、どれ一つとして答えを示せない現実を知った。 この危機的状況に対し、皆が、困惑、狼狽し、なす術がない。話せば話す ほど矛盾を感じて顔を下に向けざるを得ない、視線を落さざるを得ないのだ。 これは何を意味するのか。ズバリ、戦後63年間当然のように維持されて きたこの国の安全保障政策が、その実まったく機能していなかったという事で ある。わが国の安全保障政策がいかに欺瞞であったか、という事である。 まず何よりも日米安保体制が日本の危機を救ってくれない事が白日の下に さらされた。 次に、あれほど日本が重視してきた6カ国協議が、まったく無意味なもので あった事が白日の下にさらされた。 三番目に、ミサイル戦争に対して日本がまったく対応できないことが白日の 下にさらされた。 こう書いていくと、あたかも護憲、平和政党の言い分が正しかったとように 聞こえるかもしれない。しかしそうではない。いわゆる左翼イデオロイーの反米、 護憲一辺倒もまた、ならずもの国家北朝鮮のミサイル恫喝に対応できないのだ。 彼らの対北朝鮮政策もまた間違いであったのだ。だからこそ護憲政党、政治家 も沈黙を守らざるを得ないのである。 どうすればいいか。絶対に北朝鮮にミサイルを発射させないことだ。これ しかない。そしてそれには米国が北朝鮮と話し合い、ミサイル発射をやめさせる ことしかない。 それは米朝二カ国が、自らの利益の為に取引することではない。世界最大の 軍事大国である米国が、日本の為に、世界の為に、そして何よりも米国の為に、 北朝鮮に対する軍事的脅威をなくすことを伝え、北朝鮮のミサイル政策を思い とどまらせることだ。最終的には核兵器の脅威をなくす事を米国自ら率先して 提唱することである。そのための外交的指導力を発揮する事である。 それをオバマ大統領にわからせるのは日本をおいて他にない。二度と核兵器を 人類に使ってはならない、それを率先して世界に示す、その事を、憲法9条を 掲げて米国に迫る事である。憲法9条こそ最強の安全保障政策である事を米国に 気づかせることである。まさしく日本の外交力が問われている。

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