天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月13日発行 第0101号 政治とカネの話よりも重要な事 相も変わらず小沢一郎秘書逮捕のニュースが続いている。政治家と建設会社を めぐるカネのやり取りについて、次から次へと新たな情報を流し、政治家とカネ の話が事こまかく報じられている。それを聞きながら、報道する側も気の毒だと 思った。書きながら自己嫌悪に陥らないかと思う。 政治家とカネの受け渡しに関する詳細な話など、もはや国民の間ではとっくに 関心が失われている。それに関心を持つのは政府、政治家、官僚とメディアだけだ。 要するに今度の問題はもはや完全に内輪の壮絶な権力闘争になってしまっている のだ。そこには国民のためという視点が完全に欠落している。 おそらく報道関係者もその事に気づいているに違いない。みながうんざりして いるに違いない。早く3月24日になって小沢秘書が起訴になり、あらたな政局が 始まらないかと思っているに違いない。 そんな中で私が気になるのは日本共産党と社民党が政治家とカネの問題について やたらに正義感を振りかざしていることだ。「自民も民主も同根だ。政治に対する 国民の信頼を回復しなければならない」、などと声高に叫んでいることだ。 これについては先日の某TV番組で、沖縄選出の下地幹郎(国民新党)が言って いた言葉を思い出す。正確な言葉遣いは忘れたが、下地議員が言っていた事は 要するにこういうことだ。 政治家はそれぞれの政党で政治資金の集め方が違う。資本主義にもとづく政党は 企業からの政治資金に頼り、そうでない政党は労働組合とかそれぞれの資金集めの 方法がある。要するに適切、合法に、政治資金が集められているかどうかだ、と。 この下地議員の言葉の持つ意味は重要である。 先日、森喜朗元首相が輿石東参院議員会長(民主党)の事を、「違法なカネを 集めて当選してきた」と批判した。これを聞いた時に、ここまで暴言を吐いた 森元総理に噛み付かなかった輿石議員は、なんと情けない弱腰議員か、と思った が、12日の日刊ゲンダイに、森元首相がこれほど強気に出られた理由を書いて いたのを読んで納得した。 「輿石の出身母体である山梨県教育組合などで構成する政治団体が、かつて 政治資金絡みの事件を起こし、会長ら2人が政治資金規正法違反で罰金命令を 受けている」背景があるというのだ。 さらにまたゲンダイの記事は、「安倍元首相も『山梨県教職員組合がこの人は 違法な献金を集めていた。その額はなんと3000万円だ』と調子に乗って批判 した。政権放り出しの無責任ボンボンにまでつけ込まれるようでは情けない」 と続けて書いていた。 企業献金もなく、政党助成金を唯一受け取っていない事が売り物の日本共産党は 確かに政治資金に関しては正義を振りかざせるかもしれない。しかし日本共産党は 選挙資金をどう工面しているのか。元日本共産党政策委員長の筆坂氏によれば、 議員歳費などの議員報酬の一部が党の予算となっているという。かつて辻元清美 議員の秘書給与プールが違法だと大騒ぎになり議員辞職に追い込まれた事が あったが、議員歳費の一部を制度的に上納させて党予算の原資にすることが公然と 行なわれていることに違法性はないのか。 公明党については、政経分離の問題もさることながら、宗教法人は等しく無税 であるという税優遇が選挙資金への厚遇にならないのか。公職選挙法上の問題は ないのか。 今度の小沢事件に背景にある最大の問題は政治とカネの問題ではない。捜査の 公正性である。権力の恣意的行使である。 小沢一郎が正しいと言っているのではない。政権政党と司法、警察、検察が結託 したら、次期総裁候補の政治生命までも奪う事ができるという恐ろしさである。 この事はいくら強調してもしすぎる事はない。 有力政治家でさえそうであるから、権力が一般国民を弾圧することなど朝飯前 なのだ。その犠牲になっても一般国民には救済の道はない。だれも権力に歯向かえ なくなる。その恐ろしさこそ日本共産党や社民党は国民に訴えるべきである。 選挙目当ての組織のエゴをむき出しにしている時ではない。

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