天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月12日発行 第100号 小沢秘書逮捕事件の裏にあるもうひとつの真実 今週の主要な週刊誌は、いずれも小沢事件について書いていた。小沢事件が 始まって以来はじめて書かれた本格的な記事である。それらに目を通して、 私には一つの方向性が見えてきた。 今度の事件の裏にある真実は、もちろん政権交代を巡る自民党と民主党の 最終戦争である。 しかし私は、もう一つの真実を感じ取った。それは官僚支配と政治支配 (国民支配)を巡る最終戦争であるという事だ。 それは必ずしも世間で言われているような検察官僚と政治家小沢一郎の 遺恨試合に限ったものではない。もっと大きく、深い戦いである。その帰趨に よって日本の将来が決まる。 おそらく3月24日に大久保秘書が起訴され、それをきっかけに大きな変化 が起きる。小沢一郎がそれでも頑張って民主党に大混乱が起きるか(この大混乱 は、たとえば鳩山や菅といった現執行部の幹部が小沢に代わろうとした時に 起きる大混乱も含む)、それとも民主党のためを思って小沢が代表を辞し、 岡田代表で結束して選挙に挑む事になるか、どちらかだ。 前者の場合は民主党による政権交代はなくなる。後者であれば民主党による 政権交代が今より確実になる。大きな違いのように見えるが、小沢民主党政権 の実現がなくなるという点では見事に一致する。そしてその事の意味は 実に大きい。 もはや今のままでは政権を続けられないと悟った自民党政治家にとっては、 将来の政治で政権を持ち続けるにはこれしかなかったのだ。その意味で自民党 は勝ったのだ。目的を達成したのだ。 小沢なきあとの民主党であれば、必ず自民党的政治は復活できる。来年の衆参 同時選挙までに起こりうる政界再編によって、どのような政党の組み合わせで あろうとも保守連立が可能なのだ。それこそが自民党政治家の願望であった。 そして、ここが重要なことなのであるが、そのような保守連立政権が続くと いう事は、対米従属と官僚支配の政治が続くということなのである。それを メディアも歓迎して応援しているという事なのである。 これこそが、毎日繰り返される小沢批判の報道の理由である。自民党批判も 行なってバランスを取っているが、小沢民主党代表だけは追放したいのである。 私は2004年3月、突然菅民主党代表(当時)から面談を求められ その夏の参院選全国比例区で出馬しないかと申し込まれた。答えをためらって いるうちに、5月になって年金未納問題で菅代表から岡田代表に代わった。 選挙対策本部長ももちろん代わった。 そのとたん、この話はなかった事にしてくれとなった。その理由がふるって いた。スキャンダルを流されて民主党はもたない。あなたのためにも出馬は やめたほうがいい、というものであった。 同時にまた天木を民主党に入れると外務省を敵にまわすことになる。絶対受け入 れられない、と触れて回る議員が民主党の中にいることを知った。もちろん それら議員の名前を私は知っている。 この事は何を意味しているか。民主党では官僚組織と結託している連中がいる という事だ。官僚と懇意を重ね、情報をもらい、そして協力してこの国を動かそう とする政治家たちだ。政策に強いだけ国民支配が巧妙になる。彼らに公務員改革は できない。 小沢民主党がどこまで本気か私は知らない。しかし折から国民から起きている 国民からの公務員改革の要望に応えるかのように、小沢民主党は官僚支配を根底 から変えようとしていた。報道によれば各省庁に大量の政治家を送り込んで 幹部人事を掌握しようとしていた。外務省の主要国大使人事にまで政治任命を 行うといった報道もなされていた。もちろん小沢秘書逮捕を行なった検察幹部の 首は飛ぶ。 渡辺喜美などがメディアを前に騒いでいる公務員改革などとは現実味がまるで 違う。政権を取ったトップが行なうのだ。中曽根も小泉も官僚と本気で戦う事は しなかった。小沢がどうかは私には分からない。しかし、官僚が小沢を恐れた のは間違いない。 今度の事件で小沢が民主党代表辞任に追い込まれるような事になれば、官僚が 勝ったという事だ。政権交代はなされるであろうが、官僚支配はかわらない。 日本の政治は今までと何も変わらないだろう。

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