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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」 第0098号 なぜ新聞は権力に弱くなったのか
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 天木直人のメールマガジン  ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説  2009年3月11日発行 第0098号  なぜ新聞は権力に弱くなったのか  メディアが権力に追従するようになって久しい。なぜか。その理由はいくつある だろう。しかし間違いなくその一つに新聞が権力側に弱みを握られている事がある。  2月末の新聞に朝日新聞4億円脱税というニュースが流されていた。脱税と いい申告漏れといい、「社会の木鐸」であるはずのジャーナリズムが不正を やっているようでは正義を本気で追及できるはずはない。権力側はメディアの 不正を握っているのだ。国税庁は情報を掌握しているのだ。いつでもメディアを 脅かすことができる。  そのような新聞社の弱みの中でも、おそらく最も深刻な弱みは、「押し紙」 という名の購読者数水増し偽装であろう。  これは業界のタブー中のタブーと言われてきたという。そのタブーについて 経済月刊誌ZAITEN4月号がついに書いた。ZAITENとは財界展望社 発行のれっきとした経済情報誌である。その記事は、産経新聞がついに業界 タブーである「押し紙」の廃止に踏み切ったと書いていた。  押し紙とはなにか。ZAITENの記事によるとこうだ。 ・・・販売店に新聞が届けられる際、実際の購読者以上の部数が届く。その 余剰分が「押し紙」。余剰分の料金は販売店が負担するので、販売店にとって は新聞社による押し付け販売。それよりも由々しき問題は、押し紙を含む 出荷部数が新聞社の公称部数となっている点にある。新聞社の広告料は部数に よって決まるが、新聞社は長年、押し紙で水増しした部数で広告料金を定めて いた。ゆえに「押し紙廃止論」はタブー視されてきたのだ・・・  ZAITENはさらに続けてこう書いている。  「産経は東西合わせて219万部としているが、押し紙をなくすと110万部 と半減するらしい。存在しないことになっている押し紙をなくすとはいえないので、 この1年で『いつの間にか、部数が半減した』と公表する事になると思う」 (産経新聞幹部)  「押し紙」は何も産経に限ったことではない。たとえば「紙の爆弾」3月号は、 朝日新聞西宮販売の社員の過労死を訴える記事の中で、押し紙について インターネットを中心に報道してきたフリージャーナリストの黒藪哲哉氏などが 読売新聞から名誉毀損で訴えられた事を書いている。要するに大手新聞は 皆行なっているということだ。  押し紙のどこが深刻な問題か。それはZAITENの記事が教えているように、 公称販売部数によって広告料などが決められることである。数字を誤魔化して 収入を余分に取ることはれっきとした犯罪ではないのか。広告主の会社がそれを 知らずに支払っていれば騙された事になる。もし知っていながら黙認していた のなら背任行為だ。そして仲介役の広告会社はどう認識しているのか。  つまり「押し紙」はメディア業界の壮大な闇という事になる。食品偽装ばかり が大叩きされている昨今だが、偽装だらけだ。一部の偽装だけが問題にされ 他の偽装が見過ごされているのではないのか。  権力側がこの存在を知らないはずはない。告発したら社会的大問題になるだろう。 しかし、今度の小沢秘書逮捕事件で満点下にさらされたが、「正義」を標榜する 検察官僚の「正義」は決して公平に追及されるわけではない。すべての正義を 実現するにはいくら人員を揃えてもパンクする、と検察は言うかもしれない。 ならば巨悪から追及してみるがいい。検察官僚が勝手に「正義」を判断し、 振りかざす事は許されない。  メディアの弱みを握っている権力側がメディアを黙らせるのは簡単だ。 だからその権力者を押さえつけるのは国民しかない。国民の怒りでしかない。 メディアは権力におびえて膝を屈するよりも、国民とともに権力の横暴を監視 する本来のメディア魂を取り戻さなければならない。

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