天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月10日発行 第0097号 漆間官房副長官を更迭に追い込めないメディアの不甲斐なさ 北朝鮮とのミサイル戦争が起こりかねない緊急事態にもかかわらず、この国 の政治は尋常ならざる権力闘争ですっかり麻痺している。メディアもまたその 渦中に巻き込まれて右往左往だ。おどろくべき機能喪失状況が日本を覆っている。 その混乱を招いた理由は、その後に起きたいくつかのハプニングである。 そしてそのハプニングの最大のものは漆間官房副長官の「自民党議員には波及 しない」大失言である。 国民にはこの発言の深刻さが分からないであろうが、この発言はとんでもない 大失言なのである。 国策捜査があったかなかったか、などという馬鹿げた問題が議論されているが、 次期首相が確実視されている政治家の政治生命を一瞬にして奪うような捜査その ものが国策捜査なのだ。 考えてみるがいい。もし検察官僚が官邸に何の連絡もせずに小沢の秘書を逮捕 したとしよう。それこそ大問題だ。官僚の分限を超える越権行為である。そんな ことはあり得ない。 だから今回の小沢秘書逮捕は、当然のことながら東京地検幹部から事前に官邸 になんらかの形で伝わっている。そして官邸側がそれに対しどのような指示を しようが、しまいが、官邸が知った時点でもはや国策捜査なのである。 検察官僚が真っ先に伝える相手は官僚OBである内閣官房副長官である。つまり 漆間巌である。その漆間官房副長官が、オフレコであれ、何であれ、そして 一般論であれ、特定の情報に基づいたものであれ、「自民党議員には波及しない」 とメディアに発言した事自体が大問題なのである。 ところが更に驚くべき事は、漆間官房副長官やそれをかばう麻生首相が、 そんな発言はしていない、記者の聞き間違いだ、などと責任逃れをしたことだ。 さすがに嘘をついては責任問題になるとばかり、記憶にないとか、認識の違い だなどと、直ちに言い直しているが、言っている事は同じだ。記者の受け止め方 と自分が言ったこととは違う、記者が不正確に報道したのだ、と言い張っている のである。記憶にないといいながら言っていないと言い張っているのだ。 このような言い訳をする事自体が、その発言の不適切さと、深刻さを認めた という事だ。大失言をしたと臍を噛んでいるのだ。 情けないのは記者たちである。20人ほどの記者は雁首揃えて皆聞いていた はずだ。だからこそ同じような記事を一斉に流したのではないのか。それが首相、 官房副長官の保身の言い逃れで否定されたのだ。お前らの聞き間違いだ、不正確 なことを記事にしたからこんな騒ぎになったのだと居直られているのだ。 それに激怒しないような記者は筆を折った方がほうがいい。国民に真実を 知らせるという記者魂を捨て去った骨抜き記者たちということだ。権力に従順な 御用記者たちということだ。 一昔前ならメディアは官房副長官の首を即座にとったものだ。首相の責任までも 追及したに違いない。 もしこのまま漆間発言がうやむやのうちに不問に付され、漆間巌が大きな顔を してそのまま官房副長官に居座るような事になれば、もはや国民はメディアには 何も期待できないという事だ。 メディアは名誉にかけて漆間官房副長官の首をとらなければならない。

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