天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月10日発行 第0096号 イスラエル建国時の秘話 世の中はすべて情報戦争である。いかに多くの人間を自分の都合のいい情報で 思い込ませるかだ。だからこそ我々は何が真実であるかを知る努力をしなければ ならない。 それが行き過ぎるとすべて陰謀論でかたづける陥穽に陥る危険がある。しかし 陰謀論で語られるものさえも玉石混合である。とんでもない嘘も、とんでもない 真実もある。真実はどこにあるのか。それを我々は客観的、中立的な立場から 予断を持つ事無く謙虚に追求していかなければならない。 イスラエル批判を行う時、真っ先にイスラエル側から投げつけられる言葉は 反イスラエル主義という言葉である。しかしその言葉自体が、ユダヤ主義と同様、 一方的な響きを持つ。 これから書く情報が、反イスラエル主義者の根拠のない扇動なのか、それとも 歴史学者の間で共通に認識されている史実なのか、私は知らない。しかし私には 驚きの記事であった。 「タブーなきラジカル・スキャンダルマガジン」と銘打った月刊誌「紙の爆弾」 という雑誌がある。「噂の真相」が休刊になった後に、それを受けつぐ形で 国家権力の弾圧に抗して世の中の不正を暴き続けている雑誌である。 その3月号に佐藤雅彦と名乗るジャーナリスト、翻訳家が、イスラエルがなぜ パレスチナで「ホロコースト」を続けているのか、について書いていた。みずから ナチスドイツの「ホロコースト」になったユダヤ人が、なぜ今度はそれに匹敵する 「ホロコースト」をパレスチナ人に続けのか。これは誰もが抱く素朴な疑問である。 佐藤氏は今回のガザ攻撃は突然起きたものではない、周到に準備された虐殺 だった、という事を、たとえば一年前のイスラエル国防副大臣マタン・ヴィルナイ の発言を引用して述べている。 すなわちヴィルナル国防副大臣は08年2月の時点で、「(ハマスのカッサム・ ロケット)攻撃がこれ以上激化したり、ロケット弾の射程距離が伸びるようで あれば、やつらは、これまで経験したことのない大規模な“ショアー”を招き 寄せる事になる・・・」という発言をしていたという。 ショアーとはヘブライ語で丸焼きの供物を神前に捧げる祭りの意味で、 イスラエルの国家主義者やそれを支援する国際シオニストによって「ナチス ドイツによるユダヤ人大虐殺」を指す固有名詞として愛用されてきた言葉である という。すなわち「抵抗するとナチみたいにホロコーストをお見舞いするぞ」 と宣言したに等しいというわけである。 だからこの発言は当時重大なスキャンダルとして世界を驚かせたという。 日本ではまったく報道されず、従って日本人は、この私を含めて、何も知ら なかったのであるが。 その佐藤氏はイスラエル建国時の秘話を次のように書いている。そこにユダヤ 人のパレスチナ人虐殺の一つのヒントがある。 佐藤氏は言う。1894年にフランスで起きた冤罪事件(ドレフュス事件)の 取材を通じて祖国建設の必要性を痛感したオーストリア人記者ヘルツルは、 ロスチャイルドの資金供与によりパレスチナでの精力的な土地買収と現地移民を 始めた、と。ここまでは誰もが知っている史実だ。しかしその後の次の記述は 私にとってはじめての情報であった。 ・・・シオニズム運動がすべてのユダヤ人から歓迎を受けたわけではない。 欧州先進国に定住したユダヤ人の中には(現地に受け入れられ)社会的に成功 した者も多かった。こうした同化ユダヤ人は、文明果てる世界の果てにざわざわ 移住して開拓生活で人生をやり直そうとは思わなかった。(しかし)シオニスト は、移住ユダヤ人と旧住民との摩擦が起きはじめると、これを解決するために、 さらなる移住者増加でパレスチナ旧住民を圧倒する道を選んだ。ユダヤ人の中 にはこの選択を批判する者も当然いた・・・そこで、(これはほとんど語られ ない事実だが)、パレスチナのユダヤ機関はナチス政府と秘密移送協定を結んで、 ナチスがユダヤ人の「パレスチナ移住」を推し進める見返りとして、パレスチナ のユダヤ入植者がドイツ製品を積極的に輸入する約束をした。この協定で ドイツ在住ユダヤ人の2割にあたる5万人以上が、パレスチナに逃げ込まざるを 得ない状況に追い込まれた・・・シオニズム運動の開祖ヘルツルがイスラエル 建国の「父」、最大の金づるロスチャイルドが「母」だとすれば、少なくとも 欧州ユダヤ人をパレスチナに追い払う最大の推進力となったヒトラーは イスラエル建国の「産婆」役を担ったことになる・・・筆者はナチスの人種差別 政策を心から憎む。それゆえにナチスを利用した勢力の悪辣さを許すわけには いかない・・・ 要するにシオニスト指導者とヒトラーはユダヤ建国で協力関係だった ということだ。 この佐藤氏の記事を読んだ時、私は米国にいたときのユダヤ系アメリカ人が 私に言った言葉を思い出した。彼は私にこう言った。われわれは米国で快適な 生活を送っている。米国こそが自分たちがもっとも安心して快適に暮らせる国 である。いまさらイスラエルに行く必要はない。しかしイスラエルはユダヤ人 の存在を世界に示す政治的意味を持つ国家だ。イスラエルに移住して危険な中で イスラエル国家を守っているユダヤ人には申し訳ない罪の意識がある。だから われわれは彼らがどんな無茶な事を言っても全面的に支援する

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