天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月10日発行 第0095号 イスラエルを左右する極右政党党首リーバーマン 村上春樹の「イスラエル賞」受賞に再び触れたついでに、イスラエルの現状に 関して最近知りえた情報を幾つか紹介したい。私がなぜこれほどにイスラエル という国を批判するのか。イスラエルの正体を知ってしまったからである。勿論 私のイスラエルに関する知識は不十分なものだ。しかしイスラエルを知れば知る ほど皆イスラエルに批判的になっている。私以上にイスラエルの非道を糾弾する ようになっている。それほどイスラエルという国は悪い国なのだ。 ガザ攻撃についてあれほど報道されたパレスチナ問題が再びメディアから消えた。 それとともに、国民の関心は再び消えうせた。しかしガザの現実は悲惨なままだ。 イスラエルのパレスチナ弾圧政策は続く。それに心を痛める日本人は人知れず賢明 な抗議を続けている。 そんな中で2月10日にイスラエルで総選挙が行なわれた。日本の報道は、 「和平派が後退し、強硬派が議席をのばした。その結果強硬派中心の連立政権が 避けられない見通しとなった。パレスチナ和平交渉は後退せざるをえない」、 というものばかりだ。 しかし、現実はもっと酷い事が行なわれている。それを教えてくれたのが ニューズウィーク(日本語版)2月25日号であった。 今度の選挙の最大の勝者は極右政党「わが家イスラエル」のアビグドル・ リーベルマン党首だ。120議席中15議席を獲得し(それまでは11議席) 連立政権のキャスティングボートを握る存在になった。イスラエル政治の中心に 浮上したのだ。 ところがこのリーベルマンはとんでもない強硬派で、イスラエル国内にいる アラブ系国民を認めない男だという。因みにイスラエル国内には現在130万人 のアラブ系国民がいる。これはイスラエル人口の20%にもあたる。彼らは 1948年にイスラエルが建国された時に新国家イスラエルにとどまった 約16万人の住民の子孫であり、れっきとしたイスラエル国民である。 それにもかかわらず今日まであらゆる差別を受けてきた。 リーベルマンはこの差別をさらに進め、パレスチナ自治区のヨルダン西岸に 追放し、さもなければ市民権を剥奪するという事を主張しているという。しかも その考えを多くのイスラエル人が支持しているという。とんでもない アパルトヘイト(人種隔離)政策だ。 当然アラブ系国民の反発は高まる。イスラエルにとっての最大の戦いは、 パレスチナ強硬派ハマスでも、それを支援するレバノンのヒズボラやイランとの戦い もない。これからは自国内のアラブ系国民との戦いが始まることになる。 ニューズウィーク誌は「第二次大戦以降、自由な民主主義国家が自国民の市民権 を剥奪したり、国外追放した例は聞いた事がない」と書いている。イスラエルは 今の国際社会において、もはや「自由な民主主義国家」ではないということだ。 ニュウーズウィーク誌はその記事をこう締めくくっている。 「今回の総選挙で、アラブ系住民の問題を公然と議論する環境が整った。この問題 を巡る決断は民主主義のユダヤ国家というイスラエルのあり方を左右する事になり そうだ。」 因みに週刊新潮3月5日号は「パレスチナ紛争の命運を握るイスラエルの プーチン」と題してリーベルマン「わが家イスラエル」党首の事をこう書いていた。 ・・・アラブ人の排斥を掲げ、「第二次世界大戦で米国が日本にしたのと同様、 ハマスとの戦いを続行すべき」との発言を繰り返し・・・隣国からはユダヤの サタンとも揶揄されている・・・こんな男よりも(世界は)ハマスが憎いのか・・・

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