天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月10日発行 第0094号 村上春樹「エルサレム賞」受賞に思うー後日談 私は2月25日のメルマガ第0073号で、村上春樹が「エルサレム賞」を 受賞した事について、残念に思うという趣旨の私見を述べた。 その後私は注意深く新聞や雑誌の評論を見てきたのであるが、そのすべてが、 村上氏の受賞を素直に喜んだり、壁と卵のスピーチを、文学的表現でイスラエル 批判をしたと称えたりするものばかりであった。 そんな中で、3月9日の朝日新聞「風」でカイロ発平田篤央の記事が目に とまった。彼は書いていた。 ・・・講演後、会場では大きな拍手がわき起こった。歓声も上がった。その場に いた私も感銘を受けた。しかし、何か、もやもやが残った。あえてイスラエルに 来て、文学的表現で批判する日本の作家。それを受け止めるイスラエル人。知的 な緊張と交歓。 そこに紛争の一方の当事者であるパレスチナ人、アラブ人は不在である。あまり に大勢が殺されて、一人一人の人格が消えて「1300人」という数字に置き 換えられてしまうのと同じように・・・ 私が驚いたのはその後に続く平田氏の記事である。彼はアラブの文学者は いったいどんな気持ちでこの受賞を受けとめているのだろう、とした上で、 2月23日付のアラブ圏紙アルハヤトに載っていたレバノンの作家・詩人である アブド・ワジンの論評を紹介しているのだ。 それはまさしく私が2月25日のブログで紹介したものだ。平田記者もまた 私と同様に、彼の論評を感銘を受けて読んだに違いない。それはアラブ人の 心優しき抗議文である。 それをここで紹介する余裕はないので、読者には是非とも2月25日の私の ブログを、できれば3月9日の朝日新聞の平田記者の記事ともに、読み直して いただきたい。できればその和訳の比較とともに。 天下の朝日新聞のカイロ特派員のよりも2週間早く、私はアラブ人の気持ちを 読者に伝える事ができた。それを自慢したくてこのメルマガを書いた事を白状する。

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