天木直人のメールマガジン ─反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 2009年3月6日発行 第0088号 日米安保条約無効訴訟に関する読者からの情報提供 3月4日のメルマガ第0084号で書いた日米安保条約無効訴訟の件に ついては、どのメディアもこれを報じなかった。予想されていたとはいえ、 見事な無視だ。これでは国民は真実を知る事はできない。 そのかわり、私のメルマガの読者には貴重な情報を提供させていただく。 以下の文章は私のメルマガの読者の一人から私に寄せられたメールの要約である。 名を伏して要旨のみを伝える事に免じて、メールの差出人にはあらかじめ掲載の お許しを得たい。あまりにも貴重な情報であり、是非私のメルマガの読者と共有 したいと思ったからだ。 「・・・本日の午後、いつものように天木様のメルマガを拝読し鼓動の高鳴り を感じました。『「天木直人メルマガ」 第0084号 日米安保条約は無効だ という訴訟』こそ、本日の午前、私が傍聴した裁判そのものに他ならなかった からです。 東京地裁631号法廷で10:00より行われた「日米安保無効訴訟」は日米安保条約 無効訴訟の会・代表の長岩均氏によって提訴されたものです。建設関係の会社 役員をされている長岩氏は、落ち着いた風貌の大変誠実な方であるとお見受け しました。また、今回の訴訟において事務局長をされている山崎康彦氏も メリハリのある語り口の非常にまっすぐな方で、信頼するに足る人物との印象を 受けております。 今回の訴訟を傍聴するに際し、このような真面目で誠実な市民の皆さんが こうして社会の矛盾に立ち向かう様に、私は大変感銘を受けた次第です。 しかしながら、裁判そのものは甚だ私たちの期待を裏切るものでしかありません でした。なんと法廷はわずか3分ほどで終了してしまったからです!この日のため に急遽休暇をとり八王子から霞ヶ関まで馳せ参じた私にとっては、肩透かしを 食らったような、舐められたような、なんとも馬鹿にされたような思いに 囚われました。閉廷直後、「しっかりやれよ!」という裁判官に対する罵声も とんだほどです。 展開は次のようなものでした。裁判官は3名。中央の裁判官が原告・長岩氏、 被告・国の書面内容をそれぞれ確認しました。その時、国側から当法廷での終結 を求める要請がありました。つまり、今回の1回限りで決着(=棄却)をつけたい とのこと。これに対し裁判官は何ら異存がある風でもなく、原告側にその旨 伝えます。当然原告側はそれでは納得いかないので異議を申し立てます。 (ここで中央の裁判官は左右の裁判官と何やらひそひそと協議)。すると裁判官は 「ここに書面があるのにこれ以上何か言いたいことでもあるのか」といった 意味の突っ込みを入れ、それでも食い下がる原告に対し、「では、1回続行 します」と宣言し、次回の開廷日程を確認し閉廷となったわけです。──この間、 約3分。 今回の裁判は紛れもなく出来レースとの印象を受けました。間違いなく棄却 となることでしょう。国の代表は法務省・法務局からやって来た、若い女の子を 含めた6名。被告席後列に座った女の子を含めた3人は、裁判が始まる前から楽し そうに世間話に花を咲かせ、裁判中も国が相手取られた訴訟という緊張感が まるで感じられませんでした。これも裁判官を含めた“身内”であればこそで ありましょう。結果など最初から分かっているのです・・・ 訴訟の過程で分かったこととして、1970年に10年の延長が国会で強行採決された、 俗に言う「70年安保」について、その後の延長はどうなっているのかということ についてです。このことについては私も初耳でした。長岩・山崎両氏はてっきり 10年ごとの更新と思っていましたが、実は、1年ごとに更新されていことが 分かったのです。長岩氏が外務省の条約課に直接電話し、要するに「無期限条約 なのか」と担当官に聞いたところ、返事は「それは違う」とのことでした。 「省内で意見をまとめ、毎年アメリカ側と協議している」とのことだったのです。 つまり、1年1年外務省の窓口のレベルだけで、国会でも審議せず、国民にも知ら せず、マスコミにも言わず、そして野党も追及せず、そのようなことが実は1971年 以降脈々と30数年間続いてきたわけです。そのようなことがまかり通る国は 一体何なのか?実に衝撃的な事実であります!・・・」 私は名古屋地裁、高裁における自衛隊イラク派兵差止め訴訟にかかわってきて 違憲裁判の現実をはじめて目撃した。だからここに書かれている裁判所の状況は 手に取るようにわかる。そしてあらためて名古屋高裁の違憲判決が歴史的判決 であった事を思い知る。 それにしても日米安保条約が外務省の下っ端官僚だけで毎年更新されている という現実を知ってさすがの私も驚いた。この国をわれわれ国民の手に取り戻す には一体どうすればいいのか、それを思うと暗澹たる気持ちになる。 このように私のメルマガの読者から貴重な情報が提供される事がある。それを 私は、自らの判断でこのメルマガで読者の皆さんと共有したい。私はまったく 一人で、誰の手も借りず、誰にも相談することなく毎日このメルマガを書いている。 しかしこうして読者からの貴重な情報を得てさらにこのメルマガを充実させて 行きたい。その情報が増えれば増えるほど、他では得られない貴重なメディア となっていく。このメルマガは皆でつくるあらたなメディアだ。それこそが私の 願いである。そうする事によって、そして読者がまわりに人々に影響を与える ことによって、この国を少しでもよくしていく、それが出来なくても悪い方向へ 行く事を少しでもとどめる、そういう努力をしていきた。

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