… … …(記事全文4,727文字)【兵士が報われる国、報われない国】
──米軍制度に学ぶということ──
自衛隊の待遇改善を目指し、これまで何度も国会での請願や制度提言を行ってきた私にとって、アメリカの軍制度は一つの参考書のような存在です。「兵士という特殊な職業にふさわしい処遇とは何か?」それを合理的に制度化し、国家として支える枠組みをつくってきた米国。その全体像をあらためて整理してみると、日本に足りない“視点”がいくつも浮かび上がってきます。
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写真は在沖 嘉手納基地
日本の自衛隊基地には、嘉手納基地のように米軍機向けの大規模な掩体壕(リベットメント)群や広大な滑走路周辺の横断帯はほとんど見られません。
自衛隊の基地は主に民間空港と共用だったり、規制の都合で敷地が限られていたりするため、掩体壕をこれほど大規模に並べるスペース自体がありません。こういったところから見ても問題はたくさんあります。
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けれど、最初から米軍が素晴らしい制度を持っていたわけではありません。以前このメーリングリストでも紹介したように、たとえば映画『ランボー』第1作に描かれたベトナム帰還兵の姿は、その象徴的なものです。戦場から帰ってきた兵士が社会から冷たく扱われ、不遇に耐える姿。その現実に対して、当事者たちが声を上げ、市民が支え、やがて議会が動き、制度が変わっていきました。
アメリカの人々は「自由」は自然に与えられるものではなく、戦って勝ち取るものだと知っています。だからこそ、彼らは兵士を「勝ち取った自由の担い手」として、大切に扱うのです。
【米軍の給与体系──生活を守るという思想】