… … …(記事全文5,014文字)現代の世界に蔓延する左翼思想を語る上で、フランツ・ファノンとミシェル・フーコーという二人の人物は、非常に影響力の大きかった人物たちだ。
今回は、この二人の思想を把握することで、全ては1960年代から始まっていたことを明らかにしたい。フランツ・ファノン(1925〜1961)は、カリブ海に浮かぶフランス領の島・マルティニークで生まれた黒人の精神科医であり、思想家だ。彼が生きた時代は、ヨーロッパの巨大な帝国が世界中を植民地として支配していた時代の終盤にあたる。ファノンは高校時代、フランス国籍を持つ「市民」として育ち、第二次世界大戦が起きると、ナチス・ドイツと戦うために自ら志願してフランス軍に入隊した。自分は「自由と平等を尊ぶフランス人」の一員だと信じていたからだ。
フランツ・ファノン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8E%E3%83%B3しかし、戦場で彼を待っていたのは激しい人種差別だった。
どれほど命をかけて戦っても、白人兵士と黒人兵士は明確に区別され、人間としての尊厳を傷つけられた。戦後、フランス本国へ渡って医学と精神医学を修めたファノンは、精神科医としてアルジェリア(当時はフランスの植民地)の病院に赴任する。そこで彼は、支配する側であるフランス人と、支配される側であるアルジェリア人の双方が抱える深い心の傷を目撃した。この体験が、彼を単なる医師から、命をかけた革命家へと変貌させたのだ。
ファノンは主に、激しい独立戦争が繰り広げられていたアルジェリアと、彼が精神科医として勤務していた精神病院、そして執筆活動を通じてその思想を唱えた。彼の思想の核心は、代表作である『黒い皮膚・白い仮面』や『地の塩(地の糧)』に凝縮されている。ファノンの初期の気づきは、植民地支配が人々の「心」を破壊するという事実だった。黒人は、白人の文化や言語を身につけることでしか「人間」として認められない。そのため、黒い皮膚の上に「白い仮面」をかぶって生きようとする。しかし、どれほど完璧なフランス語を話し、白人の真似をしても、肌の色一枚で「お前は非人間だ」と拒絶される。この構造が、被支配者に深い自己嫌悪と精神的な病をもたらすと論じたのだ。
アルジェリア独立運動(FLN)に身を投じたファノンは、さらに踏み込んだ主張を展開した。植民地支配とは、そもそも言葉の話し合いではなく、銃と暴力によって打ち立てられた秩序だ。だからこそ、支配されている人々が人間としての尊厳を取り戻すには、単に政治的な独立を迎えるだけでなく、支配者に対する自発的な抵抗と暴力運動を通じて、自らの手で恐怖心を打ち破るプロセスが必要だと説いた。
ファノンにとっての「暴力」とは、単なる破壊行動ではない。
支配者に「お前は劣った存在だ」と刷り込まれた心の毒を浄化し、被支配者が自らの足で立ち上がるための「精神的治療」の意味を持っていた。ファノンは36歳という若さで白血病により亡くなったが、彼の残した言葉は国境を越え、現代の社会運動や学問のあり方を根底から揺さぶり続けている。
まだまだ続く!左翼の歴史をしろう!
全ては1960年代に始まっていたのだ。
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