… … …(記事全文4,037文字)◆偽造マイナンバーカードでスマートフォンを乗っ取られる⁉
4月30日午後3時頃、近鉄「八尾駅」近くでチラシをまいていた松田憲幸氏は時刻を確認しようとスマホを見ました。すると画面の電波表示が消えています。「あれっ、おかしいな。電波障害かな?」。すぐに近くの携帯電話ショップに予約をし、スマホを見てもらったところ、店員から驚くべきことを聞かされました。「これ、機種変更されていますね」「ええっ、だれが? 機種変更を・・・」。
名古屋市内のある携帯ショップで午後3時頃、つまり松田氏がスマホの電源が切れていることに気づいた時間に、何者かが松田氏のマイナカードを身分証明に使ってスマホの機種変更を済ませていたことが判明しました。マイナカードは偽造されたものでしたが、店員は気づきませんでした。SIMカード(スマホの契約者情報が記録されている)をショップの店員に再発行させ、スマホを乗っ取る「SIMスワップ」と呼ばれる手口でした。松田氏は八尾市の市議会議員で、市民からの相談を受けるために自宅の住所や生年月日などをホームページに公開していました。犯人はその情報を使ってマイナカードを偽造したようです。
事態の深刻さに気付いた松田氏は乗っ取られたスマホを一時、使用停止にしてもらいました。しかし時すでに遅く、翌日までにショッピングサイトで225万円の高級時計、ロレックスが購入され、東京都内で受け取られていました。その際、ローンでの分割払いも組まれていました。携帯ショップの店員は、マイナカードを目視しただけで信用してしまいましたがマイナカードは簡単に偽造できます。個人情報を入手し、写真を貼りかえれば数分で偽造できるとか。警察庁の「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」によると、SIMスワップによる不正送金事件は令和4年に78件、被害額は約4億2千万円に上るそうです。警察は、携帯電話会社に販売店での本人確認の強化を要請しました(『産経新聞』5月28日付け)。