①日本と世界の重要問題の深層を語る 英国エジンバラ公フィリップ殿下の肩書きと屈辱 イギリスで、エリザベス女王の夫であるエジンバラ公フィリップ殿下が亡くなった。剛直で勤勉な性格と立派な容姿は、イギリス王室に品格を与えた一方、ファミリーとしての王室の混乱についての責任の大きな部分もこの性格によるものだという指摘もある。 ギリシャの王子に産まれながら数々の不幸に見舞われ、英国の皇太子だったエリザベス王女に恋をされ幸福の絶頂にあったかと思われたが、チャーチルの横槍で、ビクトリア女王のアルバート公とはかけ離れた権威と権限しか与えられず、その鬱憤がこどもたちにも悪影響を与えて、その後の数々の不幸を生んだ。 今回と次号に分けて、その詳細を会員限定ならではの正直さで書くことにする。まず、公式の肩書きを見てみよう。ここにすべての鍵があるからだ。 結婚した当時はHis Royal Highness Prince Philip of Greece and Denmarkだったが、エリザベスとの結婚の条件としてこの称号とギリシャおよびデンマークの皇位継承権を放棄させられた。 そして、公式の肩書きは、 Lieutenant Philip Mountbattenとなった。Lieutenantは中尉で、Mountbattenは名字だが、なせそうなったかはあとで説明する。 このときは、ビクトリア女王の夫であるアルバート公のように妻が女王になったら、Prince Consort. (王配殿下)となると見られていたが、ドイツとの繋がりを嫌ったチャーチルのために阻止された。 フィリップ殿下は、ギリシャ王家の出身でギリシャ生まれだが、内乱で追放され、父親は愛人と家出、母親は精神を病み、ドイツで育ったのち、イギリスに移ったが、姉たちはみんなドイツ貴族と結婚し、熱心なヒトラー支持者だったのである。 女王の即位後は、His Royal Highness The Duke of Edinburghとされた。エジンバラ公爵殿下である。そして、たとえば、国家機密文書へのアクセス権を封じられた。… … …(記事全文9,105文字)
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八幡和郎(評論家・歴史家)